WWFジャパンが石原環境大臣に要望書提出 漁業由来の海洋プラごみ「ゴーストギア」全国調査を求める
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は2026年6月8日、石原宏高環境大臣に対し、漁業由来の海洋プラスチックごみ「ゴーストギア」の全国規模の実態調査を求める要望書を提出しました。これまで同団体が国内7海域で行ってきた潜水調査で、生態系への被害に加え、漁業や観光への影響も確認されたとしています。政府主導での調査実施と、発生予防や回収策の検討につなげることを求めています。
「最も危険な海ごみ」とされるゴーストギア、政府に実態把握を要請
WWFジャパンは2026年6月8日、石原宏高環境大臣に「最も危険な海ごみである『ゴーストギア』の実態・実状把握調査に係る要望書」を提出しました。
ゴーストギアは、海中に流出・放置された漁具(網やロープなど)を指す言葉で、回収されないまま漂流・残存し、生物が絡まって死傷するなどの被害を生むとされています。海洋プラスチック問題の一つとして、環境面だけでなく漁業・観光など社会経済面への影響も指摘されています。
要望書本文(PDF)はWWFジャパンのサイトで公開されています。

7海域での潜水調査で、生物被害やサンゴ損壊などを確認
WWFジャパンは、2023年9月から2026年9月までの予定で、日本近海の特徴の異なる7海域で潜水調査「ゴーストギア調査隊」を実施しています。現地の漁業者やダイバーと協働し、海中に残るゴーストギアの存在と悪影響を調べてきたとのことです。
同社(同団体)によると、調査では海中に残存するゴーストギアを確認し、それに起因する生物の死傷、サンゴの損壊、漁具のマイクロプラスチック化(細かい破片化)、漁業や観光業への悪影響などを把握したとしています。一方で、環境NGOによる調査は対象範囲や継続性に限界があるとして、問題解決には政府主導の全国規模調査が不可欠だとしています。
要望は4点:全国調査、廃棄物管理の現状把握、漁具フロー把握、対策検討
WWFジャパンが示した要望は、次の4点です。
1)日本沿岸域に存在するゴーストギアの実態を把握すること。そのために「海洋ごみ実態把握調査」と連携した全国的なゴーストギア調査を実施すること。
2)ゴーストギアを含む漁具の廃棄物管理の徹底に関する現状を把握すること。そのために「漁業系廃棄物処理ガイドライン」および「漁業系廃棄物計画的処理推進指針」の実施状況について現状調査を行うこと。
3)海洋流出、または不適切に廃棄される漁具の量を把握すること。そのために水産庁と連携し、国内で生産(および日本に輸入)・流通・使用・廃棄される漁具のライフサイクルフロー(流れ)を把握すること。
4)上記調査を踏まえ、ゴーストギアの発生予防、被害軽減、回収策を検討すること。
環境大臣「重要性と課題は共有できた」 WWFは2026年夏ごろに報告書予定
要望書の提出を受け、石原環境大臣は「問題の重要性と課題は共有できた。一度に解決できる問題ではないので、一つ一つ事例を積み重ねていく必要がある。関係者と連携して、この問題を周知しつつ、取り組みを進めていきたい」と述べたとしています。
またWWFジャパンは、3年間にわたる「ゴーストギア調査隊」の調査結果をまとめて分析した報告書を、2026年夏頃に発表する予定です。潜水調査は2026年2月に完了し、現在は一部地域で回収作業を調整中だとしています。
SDGsはもちろんのこと、サステナブル・エシカルな視点から記事を制作する編集者・ライターの専門チームです。
他のニュースを見る
OTHER NEWS

