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運動も時短の時代に!? わずか40秒で大きな運動効果が得られる研究が発表 – SDGsニュース|リンクウィズSDGs
運動も時短の時代に!? わずか40秒で大きな運動効果が得られる研究が発表

運動も時短の時代に!? わずか40秒で大きな運動効果が得られる研究が発表

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早稲田大学スポーツ科学学術院の川上 泰雄教授、国立スポーツ科学センターの山岸 卓樹研究員などによる研究グループは、トレーニングは強度の工夫によって、短時間であっても大きな運動効果をもたらし得ることを明らかにしました。

 

「20秒の全力スプリント(全力疾走)2本」を週1~2回実施することで、最大酸素摂取量や大腿部(太もも)の筋肉量・筋力の改善が期待できるとしています。

 

時間効率の優れた運動として実施率が上がり、多くの人の健康維持に役立つことが考えられます。

わずか40秒で体に変化!運動習慣が変わるかもしれない

WHOの身体活動に関する最新ガイドラインでは、1週間あたり150分以上の有酸素運動や週 2回以上の筋力トレーニングが推奨されています。しかし、多忙な現代社会においてこの実施は決して容易ではありません。

 

今回、早稲田大学の川上教授などによる研究グループの発表によると、「20秒の全力スプリント(全力疾走)2本」の実施で、有酸素性「エネルギー代謝」、そして「大腿部(太もも)の筋活動」を十分に高められることが明らかになりました。

 

週に1~2回この運動を実施することで、全身持久力の指標である最大酸素摂取量(1分あたりの酸素摂取量の最大値)や大腿部の筋肉量・筋力の改善が期待できます。

 

最大酸素摂取量の改善はアスリートの競技力のみならず、一般成人においても疾病予防につながるとされています。さらに、大腿部の筋肉量は加齢の影響を最も受けやすいと言われますが、この運動により、加齢に伴う大腿部の筋肉量の減少を抑えることが期待されます。今回の研究で得られた知見は、日本をはじめ世界各国の運動実施率の改善につながるかもしれません。

10秒×4本と20秒×2本で比較!研究結果の詳細

これまでの研究では、「20秒の全力運動を、休憩を挟んで2本実施」が、「30分以上を要する中程度の強度の有酸素運動」と同等もしくはそれ以上に最大酸素摂取量を向上させることが明らかになっていました。

 

高強度間欠的運動(左図)と従来の有酸素運動(右図)

 

今回の研究は以下のような内容で行なわれました。
・2種類の運動課題
「10秒の全力スプリント(全力疾走)を、80秒の休憩を挟んで4本」
「20秒の全力スプリント(全力疾走)を、160秒の休憩を挟んで2本」
・自転車エルゴメータで実施
・スプリント時間と休憩時間の比率は1:8で統一

 

これにより、次の結果が得られました。

 

全力スプリントの反復に伴う全身(左図)および筋(右図)の酸素消費量の変化

 

① スプリントを繰り返しても、2本目以降は酸素消費量が頭打ちになる。

② 筋肉の酸素消費量は、20秒スプリントで増える。

③ どちらの運動課題でも大腿部8筋の活動が有意に増大する。

 

スプリント実施前後の大腿部の MRIの横断画像例。各筋の色の 変化が筋活動の度合いを反映している(青 -緑 -黄 -赤の順で筋活動が高くなる)。 A大腿直筋、 B外側広 筋、 C内側広筋、 D中間広筋、 E大内転筋、 F大腿二頭筋長頭、 G半腱様筋、 H半膜様筋

 

そして、これらの結果から、

◆10秒以上の全力スプリントを反復する場合、全身・筋肉の有酸素性エネルギー代謝を高めるためには2本で十分である
◆総運動時間(40秒)を運動課題間で統一した場合、(スプリントの本数を減らして)スプリント1本あたりの時間を長くすることで、筋肉の酸素消費量を最大限に高められる
◆わずか40秒の高強度間欠的運動で、大腿部の主要な筋群の活動が高まる

ということが明らかになりました。

 

実際のトレーニング効果を確かめるためには、少なくとも数週間~数か月間実施して効果検証をする必要があるとのことです。

 

また今後の展望として、強い力を出すことに慣れていない人へ向けて、全力スプリントではなく少しパワーを落とした運動でも適切な効果が得られるかを検証する必要があると述べられています。

論文情報

雑誌名:Medicine & Science in Sports & Exercise

論文名:Physiological and Metabolic Responses to Low-Volume Sprint Interval Exercises: Influence of Sprint Duration and Repetitions

執筆者名(所属機関名):山岸 卓樹*(国立スポーツ科学センター)、岩田 宗也(マツダ株式会社)、大塚 俊(愛知医科大学)、一瀬 星空(早稲田大学;論文採択時)、川上 泰雄(早稲田大学)

*責任著者

掲載日時:2024年3月7日(木)

掲載URL:https://journals.lww.com/acsm-msse/abstract/9900/physiological_and_metabolic_responses_to.483.aspx

DOI:10.1249/MSS.0000000000003420

効率の良い運動を開発したい! 研究者のコメント

早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 川上 泰雄氏

「高強度間欠的運動」は世界的な注目が高まっている運動の種類です。集中して高めの強度で、短い時間だけ繰り返し行う、という方法ですが、その具体的な強度や時間、回数についての「最適解」は明らかではありませんでした。本研究の結果は、アスリートの効率的なトレーニングにつながり、一般人が日常生活に運動を取り入れるための参考になるものと考えられます。

 

国立スポーツ科学センター 研究員 山岸 卓樹氏

トレーニング効果を生み出す『最少量』の探求は私の主要な研究テーマです。本研究を皮切りに今後さらに実現可能性や時間効率性に優れた運動様式を開発していきたいと思っています。本研究の内容に興味を持っていただき、これから高強度間欠的運動をトレーニングの一環として取り入れる場合は、運動時間を少し短縮したり(10~15 秒)、(全力ではなく)力を少しセーブした状態でスプリントしたりと、まずは出来る範囲から取り組んでいただければ幸いです。

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■ニュース提供元:早稲田大学

https://www.waseda.jp/top/

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