
日本の外航船初!商船三井がバイオLNG燃料を使用した輸送船の運航を開始
株式会社商船三井による自動車輸送船『セレステ エース』が、3月16日にベルギーで燃料供給を受け、日本の外航船で初めて「バイオLNG」燃料を使用した運航を開始しました。
石油系燃料よりもCO2排出量を約25%削減すると言われるLNG燃料に、さらにバイオガスを使ったバイオLNG燃料は、カーボンニュートラルも実現可能な環境負荷削減が見込めるとのことです。
船の燃料は石油系から天然ガスへ進化
地球温暖化の対策となるカーボンニュートラルへの直近の取り組みとして、船の燃料は従来の石油系燃料である重油から、メタンを主成分とした液化天然ガスのLNG(Liquefied Natural Gas)燃料の使用が進められています。
LNG燃料フェリーの記事はこちら。
石油系燃料に比べ、LNG燃料は二酸化炭素(CO2)の排出量を約25%削減する効果が見込めると言われています。そして、このLNGよりもさらに環境負荷を削減できるとされているのが「バイオLNG」燃料です。
バイオLNGは、廃棄物のバイオマス(生物由来の資源)などがメタン発酵することで得られる‟バイオガス”を精製して、約-160度に冷却し液化したもので、別名「液化バイオメタン(LBM)」とも呼ばれます。
バイオマスは成長過程で大気中のCO2を吸収しているため、製造から消費までのサイクルを通してカーボンニュートラルと見做すことができます。さらに、廃棄物から本来は大気にそのまま放出されていたメタン(CO2の約28倍の温室効果を持つ)を回収し、燃焼することによってメタンの大気中への放出を防ぎ、温室効果ガスの排出量をネガティブにすることができます。
LNG、バイオLNGともに主成分はメタンであり、輸送や消費に関わる既存のLNGサプライチェーン(供給から利用までの流れ)を活用できるため、船舶運航における脱炭素化に向けた有効な手段となり得ます。
商船三井が日本の外航船で初めて「バイオLNG」燃料を使用!
3月16日、商船三井のLNG燃料で運航する自動車の輸送船『ELESTE ACE(セレステ エース)』がベルギーのゼーブルージュ港において、オランダのタイタン社(Titan Supply B.V.)より約500トンの「バイオLNG」燃料の供給を受けました。

今回のバイオLNG燃料は、燃料の製造から消費までのライフサイクルベースで炭素強度(エネルギー消費当たりの二酸化炭素排出量)がゼロ以下となるものであり、EU域内が対象のISCC―EU認証(※)を取得しているとのことです。
※国際持続可能性カーボン認証。バイオマスや廃棄物を原料とする持続可能な燃料について、その持続可能性と温室効果ガス排出削減基準がEUの法的要件を満たしていることを証明するもので、欧州再生可能エネルギー指令(RED II)によって定められている。
セレステ エースは、日本の船舶会社による外航船として初めて「バイオLNG」燃料を使用する船になります。
オランダのタイタン社と、商船三井は、それぞれ以下のコメントを寄せています。
タイタン社 代替燃料セクター ディレクター Caspar Gooren氏コメント
「今回のバイオLNG燃料(液化バイオメタン燃料)の供給は、昨今の国際海運の脱炭素化における液化バイオメタンの重要性とその役割の拡大を強調しています。脱炭素化に貢献する液化バイオメタンの需要は拡大しており、また商業的な観点でも実用可能性が高く、既存のLNGサプライチェーンを活用できる点において、液化バイオメタンは船主や運航者にその実用性を示しています。
商船三井のような世界的な海運リーダーが液化バイオメタンを商業的に支持することで、クリーン燃料への移行がますます進んでいくことを期待しています。」
商船三井 燃料GX事業部長 漆谷氏コメント
「当社は2050年までのネットゼロ・エミッション達成に向け低・脱炭素化を進めており、『クリーン代替燃料の導入』戦略として、アンモニアや水素燃料の導入を検討しています。一方で、早期の低炭素化に向けては、LNG燃料船の導入が有効である為これを推進すると共に、バイオLNGや合成LNGの早期利用を目指した取り組みを進めています。
今回、タイタン社との協業により、海運業界のクリーン代替燃料導入促進をリードするバイオLNGの利用を開始でき、喜ばしく思います。2050年ネットゼロ・エミッションを実現するため、引き続き積極的にクリーン燃料の導入に取り組んで参ります。」
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