タコやイカの知られざる知性が明らかに!海洋生物学者が語る頭足類の魅力。4月22日からナショジオ新作品も放送・配信スタート
アースマンスであるこの4月は、ディズニーとナショナル ジオグラフィックがキャンペーン「ourHOME」を展開中です。
その一環として、2024年4月22日のアースデイに「解明!神秘なるオクトパスの世界」を放送・配信スタートします。
海洋生物学者であり、同番組のストーリーテラーであるアレクサンドラ・シュネル氏の研究によると「タコ」や「イカ」などの頭足類には高い知性があり、自制心や社交性を持つといいます。
そこで今回、アレクサンドラ・シュネル氏にオンライン取材を行ない、そんな海洋生物について話を伺いました。
イカやタコには「自制心」が備わっている?
動物も人間と同じように苦痛を感じる存在なので、良好な状態でいてほしい。そんな思いから制定されたのがアニマルウェルフェア法です。
アレクサンドラ・シュネル氏の研究によりタコやカニ、イカなどが痛みや苦痛を知覚し、感情を持っていることが発覚しました。このことがきっかけで法が改正され、生きたまま茹でることや四肢を切断する調理法は禁止されるようになったのです。
法改正に繋がった、アレクサンドラ・シュネル氏が研究する「比較認知」についてインタビューを行いました。
――比較認知とは、どのような研究なのでしょうか。
比較認知というものは、一つの問題に対して異なる動物同士を比較させて、それぞれが知的な方法で解決できるかを調べるものです。
――認知機能を明らかにするためには、具体的にどのようなことをやっているのですか。
我々が実際に作り上げている実験は言葉を必要としないものです。
そのため、言葉を話し始める前の子どもたちに行なうのと同じように実験します。
あるソリューションに対してどのようにたどり着くかを観察し、動物の思考を見ていくのです。同じソリューションで試しても、結果は類似することもあれば、異なることもあります。
――調査の対象として、鳥類や頭足類に着目した理由やきっかけを教えてください。
幼いころから頭足類の奇妙なところに魅了され、興味を持ち始めました。頭足類は骨がない一方で心臓が3つあり、血が青いなど、他の生物とは違う特徴を持っています。
今回配信されるシリーズの中でも他の種と一緒に狩りをする場面があるのですが、道具を使ったり問題を解決したり、記憶力があったりと知性を感じることが多くあります。
一般的に頭足類は、知性を持っていると言われる人間やほかの動物とかけ離れているように思いますが、そこを突き詰めれば知性の根源を探れるのではないかと思ったのが、頭足類に着目したきっかけです。
また、鳥類に関しては私がケンブリッジ大学に在学していた時、メンターであるシリア氏が鳥の研究をしていたため、二人が学んでいた生物両方を比較するようになりました。
――知的で自制心があることが興味深いのですが、どのようにしてイカやタコに自制心が備わっていることが判明したのでしょうか。
まず、スタンフォード大学が1970年代に子どもたちを対象に行なっていたマシュマロテストを、実験を動物たちに適用させました。
手順としてはまず初めに1つのマシュマロを出します。それを15分間食べずに待つことができれば、2つのマシュマロがもらえます。
マシュマロ実験は口頭でルールを説明しますが、動物には言葉で待つことを教えられないのでやり方を変える必要がありました。
そこで、コウイカ対しては透明なプラスチック製の箱に火の通ったエビと生きたエビを入れる方法で挑みました。
火の通ったエビが入っている箱は瞬時にドアが開きますが、コウイカがより好みな生きたエビが入っている箱は遅延があってから開くのです。
何回もこの実験を繰り返し、どちらか1つのエビを取ったらもう1つのエビは取れないということをコウイカに見せました。
その後、同時に透明なプラスチック製の箱に火の通ったエビと生きたエビを両方入れました。
瞬時に火の通ったエビを食べるのか、待ってから生きたエビを食べるのか観察すると、生きたエビを食べるために最大2分半も待つことができたのです。
これはチンパンジーやカラスと同等の長さであり、驚きました。
普段は見られない、頭足類の姿
――今回はタコにフォーカスを当てた作品(全3話)の配信がスタートしますが、本作の見どころを教えてください。
1話目ではカモフラージュについてですね。形を変えられたり背景にすぐ馴染んでいく姿が見れます。
2話目は彼らの知性について。そして3話目は彼らの社交性についてですね。実は社交的で、ほかの種族とのやりとりもしているのです。皆さんが知っているタコとは別の側面をお見せできると思います。
また、彼らの弱さや脆さ、知性や感情がある部分を見てもらい、今までとは異なる観点を持ってもらえるのではないかと思います。
タコは宇宙人のような見た目で、あまり馴染みはないとおもいますが、馴染んでいただけるような側面や共感いただける部分もあるのではないかと思いました。
――日本の視聴者に向けて、ナショナル ジオグラフィック エクスプローラーとしてこの番組を通じて伝えたいことはありますか。
我々は仕事などで忙しく自然との接点があまりないと思うので、ぜひ自然とのつながりを持っていただきたいです。
外に出て散歩をしたり、泳いだり、自転車に乗ったり、何かしら自然との接点を持ってより自然を理解していけたらいいと思います。
自然を理解しようと努力すると、結果的に自然を保護することに繋がるのでまずは自然との接点を持つことからはじめて欲しいです。
4/22から配信・放送開始!「解明!神秘なるオクトパスの世界」
4月22日(月)から、ディズニープラスおよび、ナショナル ジオグラフィック チャンネルで配信・放送が開始されます。
■第1話 変身の達人
「タコは地球上にいるエイリアンのようだが、ここにきてようやく私たちはタコが持つ超能力を完全に理解し始めている。1時間に何百回も皮膚の色を変え、天敵に擬態するために体形を変えるタコは、地球上で最も優れた変身の達人だ。」
■第2話 高い知能
「タコは動物の知能についての常識を覆す。孤児としてこの世に誕生し、独学で知能を身につける。複雑な問題を解決し、戦略を練り、未来の計画まで立てることができる。並外れた超能力がタコの成功の鍵だ。」
■第3話 社交性
「タコは独りでいることを好み、本質的に生涯孤独であるものと考えられてきた。でも実は、秘密の社会生活を営んでいる。深海で数百匹の仲間と過ごす母親もいれば、他の生物と共生できるタコまでいる。自然界のエイリアンは想像以上に社交的だ。」
「解明!神秘なるオクトパスの世界」のガイド役は、本インタビューでお話してくださった海洋生物学者・動物心理学者のアレクサンドラ・シュネル氏が務めます。
また、ナショナル ジオグラフィック チャンネルは4月21日(日)と4月22日(月)の2日間にわたり、『アースデイ WITH ナショナル ジオグラフィック』と題して特別編成で放送します。
『解明!神秘なるオクトパスの世界』をテレビ初放送するほか、気候変動や環境生態系に関してナショナル ジオグラフィックが誇る豊富なコンテンツの中から、珠玉の作品を視聴できます。
詳細:https://natgeotv.jp/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/3281
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■ニュース提供元:NATIONAL GEOGRAPHIC
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