マークを選んでSDGsを! 第3回 MSC「海のエコラベル」
SDGsと関係が深いマークを紹介する当企画の第3弾は、MSC「海のエコラベル」です。
現在、世界の水産資源の3分の1以上が過剰に漁獲されており、身近な魚がいつか食べられなくなる未来が懸念されています。
この問題を解決するために生まれたのがMSC認証制度とMSC「海のエコラベル」です。
一体どんな取り組みなのか詳しく見てみましょう。
MSCとMSC認証とは?
MSC(Marine Stewardship Council: 海洋管理協議会)とは、将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度とエコラベルを通じて持続可能で適切に管理された漁業を推進している国際的な非営利団体です。
1997年にイギリスのロンドンで設立され、現在は約20カ国に事務所を置き世界中で活動しています。
そのMSCが管理・推進している「MSC認証」は、水産資源や海洋環境に配慮し、適切に管理された、持続可能な漁業に関する認証制度です。
MSC認証を取得した漁業で獲られた水産物にのみ、MSC「海のエコラベル」をつけることが認められています。
MSC「海のエコラベル」の付いた水産物は日本では700品目以上が販売されており、私達がそれらを選ぶことで、持続可能な漁業の取り組みを支えることになります。
なぜMSC認証が必要?
国連食糧農業機関(FAO)が発表した「世界漁業・養殖業白書 2022年」によると、世界の水産資源の35%が“獲りすぎ”の状態だといわれています。
逆に、まだ資源量が十分な水産資源は、わずか7%しかありません。
このままのペースで漁獲が進めば、水産資源はどんどん減少してしまい、今まで食べていた身近な魚が食べられなくなる可能性もあります。
この問題を改善するために、MSCの認証制度とMSC「海のエコラベル」が重要な役割を果たしているのです。
海の豊かさを守るMSC認証
MSC認証には、「MSC漁業認証」と「MSC CoC認証」の2つがあり、水産物にMSC「海のエコラベル」をつけるために必要となります。
■MSC漁業認証
「MSC漁業認証」は、持続可能な漁業に対する認証制度です。
以下の3つの原則に基づく厳格な認証規格を満たした漁業が取得できます。
①資源の持続可能性
対象としている水産資源が豊富であり、枯渇の心配がないということ。
②漁業が生態系に与える影響
海鳥やウミガメ、絶滅危惧種を混獲したり、生態系を破壊したりしない。
③漁業の管理システム
国際ルール、国内法、漁業の取り決めなどにより、有効に管理されている。
第三者の審査機関による審査によって、漁業がこれらを満たしていると認められると、MSC漁業認証を取得できます。
■MSC CoC認証
CoCはChain of Custodyの略で「加工・流通過程の管理」のことを指します。
「MSC CoC認証」は、MSC漁業認証を取得した漁業で獲られた水産物が、非認証の水産物と混ざらないように厳格に管理し、店頭まで確実に届くようにする仕組みです。
世界では、5,900を超える事業者が「MSC CoC認証」を取得しており、その中にはスーパーやレストラン、加工業、流通業、倉庫など47,000以上の現場が含まれています。
MSC「海のエコラベル」がついた製品は、「MSC CoC認証」を取得した事業者によって製造・流通されているため、私たち消費者は安心して選ぶことができるのです。
MSC「海のエコラベル」の水産物を積極的に選ぼう
MSC「海のエコラベル」は、鮮魚や水産加工食品、缶詰、冷凍食品、おにぎり、フィッシュバーガーなどに付いています。
しかし、MSC「海のエコラベル」の認知度は、トップのスイスが83%であるのに対し、日本はわずか15%です。
私たち消費者がMSC「海のエコラベル」が付いた水産物を積極的に選ぶことで需要が増えれば、より多くのお店がMSCラベル付き製品を仕入れてくれることに繋がります。
そうすることで、より多くの漁業関係者や企業が認証を取得し、持続可能な漁業に取り組むよう働きかけることができるのです。
その結果、いつまでもおいしい水産物を楽しめる可能性が高まれば、未来の私たちの大きなメリットにも繋がります。
まずはスーパーなどでMSC「海のエコラベル」が付いた水産物を探してみることからはじめてみませんか。
※参考 MSCジャパン公式サイト
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