環境にやさしく多機能な「バガス容器」って?
新型コロナウイルス流行の影響により、テイクアウトやデリバリーなどを利用する機会が増えた方も多いのではないでしょうか。
現在も利便性とニーズの高さから引き続き多くの飲食店でテイクアウトやデリバリーが提供されています。
そこに欠かせないのが使い捨て容器ですが、最近では脱プラスチックの動きもあり、環境にやさしいエコ容器を採用するお店が増えています。
その中でも今回はエコ素材として注目されている「バガス」を利用した容器についてご紹介します。
バガスとは?
「バガス」とは、サトウキビから砂糖を作るため、糖汁を絞り取った際に残った繊維質のことです。
サトウキビは世界で年間約12億トンも生産されており、そのうち約1億トンのバガスが発生していると言われています。
日本では牛の飼料やボイラーの燃料としてバガスが活用されてきましたが(※1)、食物繊維を豊富に含んでいることから新たな紙資源としての活用が増えています。
※1 農林水産省「さとうきびの搾りかす「バガス」を有効利用」
バガス容器の特徴は?
バガスを使用した紙製品の代表的なものに「バガスモールド」という食品容器があります。
こちらはテイクアウトやデリバリーの他、学園祭や野外イベントなど使い捨て容器の利用が多い場所で活用されています。
バガス容器は紙と比較すると耐水性・耐油性があるため、汁ものや油ものなどにも使用可能です。
さらに、深さのある容器やフードパック型のものなど、さまざまな形状に成形加工できる特徴があるため、幅広い用途で活用することができます。
また、バガス容器の大半が電子レンジで使用できるため、テイクアウトした料理を容器のまま電子レンジに入れてあたためられる利便性の高さもメリットです。
使い捨てでも環境にやさしいバガス容器
バガス容器の最大のメリットは、なんといっても環境に優しいことです。
ここでは、バガス容器を使用することによる環境へのメリットを3つご紹介します。
①資源の有効活用
バガスはこれまでも様々な用途に利用されてきましたが、余った分は廃棄されていました。
廃棄していたバガスを利用することでゴミを減らし、資源を有効活用することができます。
また、バガスは砂糖を生産する際の副産物なので、安定的に供給されることもメリットです。
②CO2排出量の削減
バガス容器を使用することでプラスチック容器の消費量が減ると、大気中に放出されるCO2の削減につながります。
さらに、バガス容器を可燃ごみとして燃やした場合も、サトウキビが吸収したCO2が大気中に戻るだけなので、CO2排出量が増えることはありません。
③土に還る素材
バガス容器はすべて植物由来の原料から作られているため、もし風によって自然界へ飛ばされてしまっても微生物によって分解され土に還ります。
近年では北九州市立大学と㈱折兼の共同研究から、約76日で土壌分解するという結果が出ており、海洋分解も確認されているそうです。(※2)
最近では100円ショップにもバガスプレートやペーパータオルなどのバガス製品が登場し、私たちにとって身近な存在になりつつあります。
まずは今使っているプラスチックや紙の容器をバガス容器に変えるところからはじめてみませんか?
※2 TEAM EXPO 2025「パッケージ エコ化プロジェクト!」
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