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2025年大阪・関西万博の工事現場では、どのような取り組みが行われているの? 鴻池組の現場に見る「未来社会の実験場」をご紹介 – いますぐできる身近なSDGs|リンクウィズSDGs

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2025年大阪・関西万博の工事現場では、どのような取り組みが行われているの? 鴻池組の現場に見る「未来社会の実験場」をご紹介

2025年大阪・関西万博の工事現場では、どのような取り組みが行われているの? 鴻池組の現場に見る「未来社会の実験場」をご紹介

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工事現場など、社会インフラ構築の分野が脚光を浴びることはまだ少ないSDGsですが、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、あらゆる場面で「未来社会の実験場」と位置づけてSDGsとも関連性のある取り組みが行われています。

今回は、大阪・関西万博で小催事場の工事を担う株式会社鴻池組に、今まさに行われている建設工事現場においての取り組みを取材しました。

家庭や飲食店の廃食油を高純度のバイオディーゼル燃料に換えて、建設機械に使用

今までは捨てられていた廃食油を、100%バイオディーゼル燃料に換える取り組みが行われています。

廃食油は鴻池組の従業員をはじめ、取引先の企業や飲食店にも協力を得ながら回収。クローラークレーンや発電機の燃料に使われています(下写真参照)。

 

この取り組みで使われる燃料は「B100燃料」と言い、100%バイオディーゼルの軽油代替燃料です。B100燃料の使用はCO2排出量をゼロカウントに削減、PM(粒子状物質)の減少に寄与するそうです。
また廃食油から燃料へ、という地産地消の活動の一つとしても考えられ、この活動に取り組むことで脱炭素社会の実現への足がかりにもなりそうです。

廃食油は2023年6月から集めはじめ、2024年2月末までなんと1,214Lもの量を回収。そのうち約800LがB100燃料へと換えられました。これはクローラークレーンが約60時間稼働できる量です。

 

またこの他にも、掘削重機には「リニューアブルディーゼル燃料」を使用しているとのこと。

リニューアブルディーゼルは、従来のバイオディーゼルと同じ原料から、異なる技術(水素化精製)で製造するもの。廃食油に加えて、ラードや魚油など廃動物油を含んでいるそうです。

この燃料は建設現場にて油圧ショベルに使用されています。

 

リニューアブルディーゼルが使用されている油圧ショベル

下水道や電力の供給が無い万博工事現場に、循環式の汚水浄化設備とソーラーパネル、蓄電池を導入

大阪・関西万博の工事現場は下水道や電力設備が整備されていません(2024年4月現在)。そこで鴻池組は上下水と電力について、環境にやさしいカタチでの課題解決を図りました。

 

まず上下水の対策に導入されたのが、循環式汚水浄化設備の「アクアメイク」。この設備はトイレから排出される汚水を高度に浄化し、水洗用に循環させて再利用する仕組みです。

①汚水は、ろ過処理を行い、汚水に混じっている大きな粒子や異物を取り除きます。

②微生物の働きを利用して、有機物を分解する生物学的な処理を施します。

③最後に化学的処理によって再利用可能な状態まで水を浄化します。

工事事務所でアクアメイクを利用することで、し尿の運搬や処分にかかる車両の使用が削減でき、CO”排出量削減につながるそうです。

 

 

一方で電力の問題は、ソーラーパネルと蓄電池の利用でまかなっています。

工事現場の仮囲いに太陽光パネルを設置し、発電した電力を蓄電池へ。現場事務所や詰所のOA機器、機械警備設備など、24時間給電が必要な設備の夜間電力に利用されます。

また工事現場のロボットやドローンなどの機器への電力供給も行い、建設DXにも役立てていくそうです。

 

 

鴻池組は、以下のように大阪・関西万博での取り組みについて語っています。

いずれも既存の技術や製品を利用したものですが、これらを組み合わせる事でインフラが整備されていない悪条件の中でもゼネコン職員や作業員が生産性を落とすことなく、工事が可能である事を証明する意図があります。
鴻池組の取り組みは、万博の開催理念である「未来社会の実験場」というテーマに沿った取り組みであり、「環境配慮型施工」として世に示す一つのモデルケースです。
この方法で施工が可能である事を証明することは、世界中のどこの場所でも環境に配慮しながら工事ができることを証明することと同意です。

大阪・関西万博での実証を元に、上下水も電力供給も無い、世界中のあらゆる場所で工事を行うことができる――しかも環境にやさしい方法で。そんな未来社会の工事の姿が垣間見える取り組みとなっています。

工事現場で発生した廃プラスチックのリサイクルや、材料の再利用

工事現場では、PPバンドなど様々な廃プラスチック(廃プラ)が発生します。

そこで廃プラを原材料として、3Dプリンターでプランターが製作されました。

現場から回収した廃プラを専門工場でリペレット化し、樹脂ペレット対応3Dプリンターで出力。この「廃プラスチックを原材料とするプランター」は現場の仮囲いなどに設置されています。

また廃プラは小催事場の観客席用の椅子にも用いられる予定で、さらに本会期の終了後は再び原材料に戻す「リペレット」を行い、サステナブル製品としての再利用を進めるとのことです。

 

 

 

一方で、建築材料の再利用も進められています。

建物の荷重を支える耐圧版の下には大型の発泡スチロールブロック(EPS)が敷設されますが、本会期終了後はこのEPSを再利用し、他の建物や構造物の断熱材としての利用や、土木工事の軽量盛土工への流用を行うそうです。

鴻池組へ聞いたところ、EPSの再利用方法として一般的なのは、燃料として利用する「サーマルリサイクル」と、粉砕して別の製品に生まれ変わらせる「マテリアルリサイクル」とのこと。

「今回のような同一用途への再利用は一般的ではありませんが、環境負荷を抑える方法としてはベストな選択であると考えます。今後の建設業における『環境配慮型施工』のシナリオプランニングとして実施したいと思います」と話しています。

 

四足歩行ロボットの実証実験も

建設業界の労働人口は減少しており、これから先は労働者1人あたりの業務負担が増加することが予想されています。

そこで鴻池組では、建設現場での業務の方法を大きく転換し、生産性を向上させる取り組みに着手しています。

その取り組みのひとつが現場職員の負担軽減を目的にした四足歩行ロボットの導入で、大阪・関西万博で実証実験をスタートしました。

ロボットの名前は「KOCoRo/心」。大阪・関西万博の現場では遠隔で走行させ、巡察を行っています。

鴻池組は四足歩行ロボットの導入を進めている背景を以下のように語っています。

建設業の課題として、巡回施工記録や現場巡視に一定の時間を要し、日中にデスクワークをする時間を確保しにくいことが、残業の一因となっています。

ロボットによる自動巡回や定点撮影が広く普及すれば、現場の業務負担軽減や働き方改革につながるものと期待しています。

 

大阪・関西万博の実証実験において、ロボットの遠隔操作は操作訓練を兼ねて鴻池組社員が行っています。

しかし今後は訓練なしで誰でも簡単に操作できるロボットを目指し、ロボットの改良を続けてまいります。

 

現状は過渡期ですが、今後ロボットが活躍することにより、多様な人材が現場における作業へ参加できるようになります。

また、人間が近づくことが難しい現場(災害現場など)での活動も可能となることから、持続可能な社会の構築にも重要な役割を果たしていけるものと考えています。

人材不足は様々な業界において課題となっています。SDGsにおいては目標8で「働きがいも 経済成長も」を掲げており、デジタルトランスフォーメーション(DX)による解決もその1つのテーマです。

そうした観点からも、建設現場ロボット導入の今後の動向は見逃せません。

建設工事現場でサステナブルな取り組みを行うこと

建設工事現場においては、環境への配慮や地域社会との調和を図りながら、資源の効率的な利用や廃棄物の最小化が求められています。

再生可能エネルギーの活用エコフレンドリーな技術の導入、建設プロセスにおける環境への影響を最小限に抑えるための計画や、生態系への配慮も必要になります。

サステナブルな建設工事は、単なる環境への配慮だけでなく、長期的な視野に立った経済的・社会的な利益も考慮した総合的なアプローチが求められます。その結果として、建設工事現場でサステナブルな取り組みを行うことは、地球環境への負荷を軽減し、地域社会の発展と共存共栄を促進する重要な一歩となります。

 

大阪・関西万博ではこうした未来を見据え、「未来社会の実験場」として建設工事現場においてもサステナブルな取り組みを進めています。

鴻池組は「大阪・関西万博の工事現場における当社技術者の多様なチャレンジを通じ、社会的な諸課題の解決に貢献し、社会から選ばれる企業であり続けたいと考えています」と語っています。

 

2025年、実際に大阪・関西万博に訪れてもこういった現場を見ることはないと思いますが、その裏側でも多くの取り組みが行われていることに思いを馳せると、また違った印象を持つかもしれません。

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■情報提供元:株式会社鴻池組

https://www.konoike.co.jp/

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