水を守るために生活排水をキレイにしよう
日本では昔と比べて環境も整備され、工場からの排水も、一般家庭からの生活排水も多くが浄化され、水質汚染も減少傾向にあります。
とはいえ、特に生活排水に関しては設備が整っていない住宅もあり、整っている住宅でもたくさんの家庭で油を流せば浄水場の処理能力を超え、水が汚くなる恐れもあります。
一人ひとりが生活排水に気を配りキレイにすれば、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」などにも貢献します。
そこで今回は、生活排水をキレイにするコツをお伝えします。
そもそも生活排水って?
生活排水とは、環境省によると「台所、トイレ、風呂、洗濯などの日常生活からの排水」のことです。
上図のように大きくは「生活雑排水」と「し尿(トイレの排水)」に分かれ、さらに生活雑排水は台所、風呂、洗濯からの排水その他に分かれます。
特に排水の量が多いのが台所からで、台所からの水をキレイにすれば、それだけ環境負荷がかからなくなるのです。
なお、上図にある「BOD」とは水の汚れの度合いを表す指標のひとつです。
BODは微生物が水の汚れを分解するときに使う酸素の量で、このBODが高い水を排水すると、水中の酸素が使われて少なくなり、悪臭の発生や魚の大量窒息死などの問題が発生します。
上図では生活排水のBODが「43g/人/日」と書いてありますが、これは1人あたりの生活排水で1日にBOD43gの汚れが出ることを意味します。
BOD43gの汚れは、4,300リットルぶんもの水に溶けている酸素を使い、水の汚染や環境への負担をかけることになります。
台所の排水をキレイにする
まずは生活排水の割合が多い台所の排水のコツから。
・食事は必要な分だけつくる。
多くつくるほど、それだけ台所の排水の排水も増えます。
「必要な分だけつくる」ことで余った食べ物の廃棄も防げますし、排水で汚すことも減らせます。
また飲み物も、飲みきれるぶんだけコップに注ぐことで排水が減らせます。
例えばビールコップ1杯を排水した時、魚が棲める水質にするには300リットルのバスタブ10杯分もの水が必要になるのです。
・洗う前に油汚れを拭きとる。
油汚れが排水されると特に環境負荷が高いため、新聞紙などでふき取った後に食器を洗うだけで全く違ってきます。
新聞紙は吸収性に優れているので、油も吸い取ってくれます。油を吸った新聞紙は資源ゴミではなく燃えるゴミになりますので、ご注意ください。
・油はなるべくシンクへ捨てないように。
使用済みの天ぷら油(20ml)は、魚が棲める水質にするには300リットルのバスタブ20杯分もの水が必要になります。
残った油は継ぎ足して使うなど、シンクへ捨てないようにしましょう。
捨てる時は新聞紙に吸わせるか、市販の固める油処理剤などを使い、燃えるゴミへ。
・洗い桶を使って洗剤は適量を水で薄めて。
水を流しながら洗うと、自然と洗剤の量が多くなってしまいます。
洗い桶を使って水を溜め、洗剤は水で薄めて使うことで洗剤の量を減らすことができます。
お風呂の排水、洗濯
次に環境負荷が高く、取り組んだ方が良いのがお風呂です。
毎日使うお風呂でも、排水のポイントがあります。
・残り湯は洗濯に。
残り湯を洗濯に使うことは、温水で汚れ落ちが良くなるためにおすすめです。
ただし衛生上、すすぎは水道水を使うのが良いでしょう。
また、洗剤を多く使いすぎても汚れ落ちがよくなりません。適量を計って入れましょう。
・シャンプー、リンスは適量で。
シャンプーやリンスも、前述のBODが増える要因になってしまいます。適量を使うことが大切です。
キホンの考え方
それ以外にも色々ありますが、基本的には「流すものは減らす」「余計なものは流さない」これさえ一人ひとりが守れば、環境への影響は全く違ってきます。
特に環境負荷が高いのが油類で、できるだけ減らすつもりで生活をすることが、SDGsへとつながります。
一度に全部やろうと思うと大変なので、できることから少しずつ始めてはいかがでしょうか。
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SDGsはもちろんのこと、サステナブル・エシカルな視点から記事を制作する編集者・ライターの専門チームです。社会課題から身近にできることまで幅広く取り上げ、分かりやすくお伝えします。
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