「それバレてますよ!」脱法ゴミ?を見抜く清掃員の技術
滝沢さんの書籍「このゴミは収集できません」に、「ビン1本ぐらいわからないだろうと可燃ゴミに入れている人がいるが、1年も働けば持った瞬間、音と重みですぐわかる」ということが書かれていました。
今回は「わからないだろう」と確信犯のようにゴミに混ぜる人に対して「バレてますよ!」と注意喚起を促せるよう、滝沢さんにお話を伺います。
【Profile】滝沢 秀一(たきざわ しゅういち)さん
お笑い芸人/ゴミ清掃員。
1976年生まれ。1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。その後2012年に芸人のままゴミ収集会社に就職。お笑い芸人とゴミ清掃員の二つの顔を持ちながら活動をしている。現在はゴミ清掃員としてゴミ学を世間に伝えたり、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)など、いくつもの本も出版している。
他のゴミを「まぎれこます」その手口
――実際、どんなゴミが紛れ込んでいることが多いですか?
多いのはエナジードリンクですね。エナジードリンクの缶が、可燃ごみの中に紛れていることが多くあります。
小さい缶なのでバレないと思っている方もいるのかもしれませんが、ゴミ袋を持ち上げた時にペコッという音がするのですぐに気がつきますね。
他には、発泡酒などのアルコール飲料の缶、ホッピーの瓶を入れる人もいます。例えばコンビニでお酒とおつまみを買ってきて、食べ終えたら全部同じ袋の中に入れて、それを可燃ごみの大きな袋の中に入れてしまうのではないでしょうか。
缶や瓶を可燃ゴミの日に出すのは違法なのですが、それを隠そうともしない方もいらっしゃいます。
――可燃ごみの中に缶や瓶が入っている場合は、どうされているのでしょうか?
そのままそこに置いて行きますね。
――滝沢さんの担当地域では、缶はどれぐらいの頻度で回収されていますか?例えば福岡市では月に1回しか回収がありません。瓶・ペットボトルもそうです。
そういう地域もありますよね。都内では瓶も缶も、ペットボトルもそれぞれ週1で回収することが多いです。
ただ、区によっては2週間に1回という地域も聞いたことがあります。
可燃ゴミは週に3回回収をしているところもありますし、自治体によって違うのだと思いますね。
――福岡の場合は回収頻度が少ないため、回収拠点に持って行ったり、スーパーに持って行く人も多いです。
スーパーで受け取ってもらえるんですね。確かに、家だと置いておく場所がないですし。
――お話を伺っていて、まぎれこませることが多いのは、個人的にはペットボトルなのかなと思っていました。
ペットボトルは2週間に1回しか回収しない地域があります。そういう場所であれば、すぐにペットボトルが一杯になってしまうため、可燃ごみの中に紛れ込んでいることもありますね。
ただ、ペットボトルの場合はルール違反ではありません。燃えないわけではないですし、資源を分別してほしいとお願いをしているだけなので、可燃ごみの中にまぎれこんでいても回収はしています。
ただ資源としてのペットボトルは、現在とても高価なものです。
ペットボトルはペットボトルに生まれ変わるので、できれば分別をしてほしいと思います。
――資源のものを可燃ゴミに入れる人も多いのでしょうか?
そういったまぎれこませは多いですよ。
ただ、可燃ごみの中ではなく不燃ごみの中にいれる方が多いですね。缶と瓶を分けるのが面倒だから、不燃ごみの日に出す。ですがこれもルール違反ではないため、回収はしますね。
金属も不燃ごみの中から取り出すことはできますが、全てを取り出せるわけではありません。瓶も同じで、不燃ごみの中から取り出せないものが多いので、できれば資源の日に出してほしいです。
理由としては、不燃ごみで出されたものは砕かれて、最終処分場に埋められます。ですが資源であれば、また別のものに生まれ変わることができるので、真逆の行為になるからです。
最終処分場の圧迫を抑えていきたいと願う僕としては、資源のものは資源に出してほしいですね。
今年の杉並区のごみパンフレット感動した!資源に出した物が何にリサイクルしれているのかをちゃんと示してくれている!前々から言っていたんだけど、これを作りたいから、これが欲しいとわかれば、手元分別がやりやすくなる!フローチャートもいいね! pic.twitter.com/5bMCvSwTFt
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) February 24, 2023
びっくりするような「まぎれこませ」
――書籍「このゴミは捨てられません」の中で、ペットボトルと一緒にブラジャーが入っていたことがあるって書かれていたのですが、そのように驚くようなまぎれこませは他にもありますか?
色々ありますよ。ペットボトルの回収日に、ペットボトルと一緒にアサリの殻を入れている方もいらっしゃいました。
ただ、ブラジャーは、どう捨てていいのかが分からないのかもしれません。金属みたいなものも入っていますし。だから、適当な日を選んでまとめて出しておけば、誰かがやってくれるだろうと思っているのかもしれませんね。世の中には本当に色々な方がいらっしゃいます。
――最近下着会社が回収をやり始めたケースもあるようですね。
そうですね。洋服とか、化粧品とかもあるというのは聞いたことがあります。
――また、子どもがいる家庭によくあることなのですが、人形やぬいぐるみが捨てられていることってあるのでしょうか?人形供養に出した方がいいのかと、悩まれている方もいらっしゃると思いまして
新宿では、ぬいぐるみのゴミが多いですよ。水商売の人が多い地域があるからかもしれません。お客さんから貰うのか、UFOキャッチャーで貰うのかはわかりませんが、頻繁に捨てられているところを見ます。
また新宿には限らないのですが、日本人形が捨てられていることもよくあります。
――ぬいぐるみも基本的には可燃ごみになるのでしょうか?
古布回収には出せないと思いますので、可燃ごみになります。
また、リサイクルでぬいぐるみを集めている業者もあるというのも聞いたことがあります。
――ぬいぐるみは、リサイクルショップで引き取ってもらえない場合がありますね。
そうかもしれません。ただ、どこかにはぬいぐるみを受け取ってもらえる場所があったと思います。
ですが、そういう場所はあまり知られていないことが多いので、面倒だからゴミとして出してしまう方も多いのだと思います。
――日本人形も可燃ごみなのですか?
人形だけであれば可燃ごみですが、ガラスのケースに入っている場合は粗大ゴミです。
テディベアのような大きなぬいぐるみも粗大ごみ扱いになります。
ただの人形かと思ったら、起きあがると目が開くタイプの人形だった時は心臓が凍る。#ごみホラー
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) June 24, 2021
事業ゴミが家庭ゴミに入っている!?
――普通の家庭の集積所に事業ゴミが混ざっていることもあると書かれていたのですが、こういったケースは多いのでしょうか?
一定数はありますね。小さな工場の目の前に、段ボールが沢山出ている場合もあります。
――それは回収をするのでしょうか?
あまりにも悪質だと感じれば、回収できないことを書いた紙を貼って、置いて行きます。
もしくは、インターホンを鳴らして本人に聞くこともありますね。
事業ごみと家庭ごみは、見ればすぐにわかるものです。僕たち清掃員は、日々何万という家庭ごみを見てきているので。
例えばペットボトルの日に、焼酎の大きなペットボトルが10本出ていれば、普通の家庭ごみではないなというのが分かりますよね。
ただ、事業ごみというのはグレーなものもたくさんあります。ゴミがどこから出たのかということが重要なのですが、家庭から出ている場合もありますし。
ただ、1階がお花屋さんで、2階がお花屋さんの家族が住んでいる場合でも、店舗から出るゴミと家庭のゴミは別にしないと違法になります。
事業ごみは産廃といって、契約をしてお金を払ってゴミを回収しているため、家庭ごみとは全く別の扱いだからです。
――産廃は家庭ごみの回収とは全く違うのですね
そうです。他にも業種で言えばコンビニも苦労をされているようです。
コンビニの方とお話をしたことがあるのですが、コンビニのゴミ箱にお客さんや通りすがりの人がただでゴミを捨てていますが、コンビニはゴミを捨てるのにお金を払っているということを知りません。
壊れた傘などを、コンビニにわざと置いて行く方も多くいるということをコンビニの人に聞いたことがあります。ここに置いておけば、何とかしてくれるだろうと思っている人が多いということですね。
コンビニはその壊れた傘を、お金を払って捨てなければいけないということを、もっと周りは知っておくべきだと思います。
ですから、テーマパークやドームなど人がたくさん来る場所の近くにあるコンビニでは、大きな文字で「ゴミ箱はありません」と書いている店舗もあるそうですよ。
――色々なまぎれこませがあるのですね。今日もありがとうございました。
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