滝沢さんがゴミ清掃員の視点で解説!「ゴミ出しルールの意味」
一般の人からすると「ゴミ出しルール」は面倒なことのようにも思えてしまいますが、それぞれちゃんと意味があります。
「ゴミ出しルールの意味」を知っていれば、ゴミ出しの意識はきっと変わることかと思います。そこで今回は「ゴミ出しルールの意味」について滝沢さんにお話を伺いました。
【Profile】滝沢 秀一(たきざわ しゅういち)さん
お笑い芸人/ゴミ清掃員。
1976年生まれ。1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。その後2012年に芸人のままゴミ収集会社に就職。お笑い芸人とゴミ清掃員の二つの顔を持ちながら活動をしている。現在はゴミ清掃員としてゴミ学を世間に伝えたり、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)など、いくつもの本も出版している。
「洗剤などの液体は使い切ってから捨てる」ルール
――「液体は使い切ってから捨てる」というルールについて教えていただけますか?
実際に洗剤が目に入ったということは、僕自身はありませんが、中身入りで出すととても危険です。
パッカー車(ゴミや資源を回収する車)はゴミを圧縮しながら動いています。その時に、ブリーチなど中身が入ったまま出されてしまうと、パッカー車に入れた時に、回収途中で破裂する危険性があります。
その結果、液体が目に入ったり、口に入ったりするわけです。
中身入りのペットボトルも結構出される方が多いのですが、中身入りということは蓋が締まっている状態で出されています。
キャップが飛んでゴミ清掃員のこめかみにあたって、血が出たということはありました。
――一般の方は、ゴミが破裂することまでは想像ができていないのかもしれませんね
パッカー車の近くを通った時に「パンパンパンッ」という音を聞いたことはありませんか? あれが破裂している音です。
ですので、ゴミが破裂していることは想像できていても「ゴミが破裂するとどうなるのか」までは具体的に想像できていないのかな、と僕も感じていました。
また、基本的にゴミは液体NGです。
置いておけば、誰かが何とかしてくれるだろうと考えていたり、何も考えずに、自分がいらないからただ出しているという方もいるとは思うのですが……。
ゴミ清掃員は生身の人間ですので「どうやって回収するのかな」と想像をすることが大事だと思います。
――パッカー車が、ゴミを詰め込んだ後の中身を見たことがないのですが、車内ではゴミの中身が出ているのでしょうか?
出ていますね。ゴミが圧縮されていますから、各家庭の絞られていない生ゴミの汁が、ぞうきんを絞って出てくる水のように出てきます。
そのため、車内はぐちゃぐちゃになっています。
――だからルールを守らなければいけないのですね。
ゴミ出しのルールというのは、一個一個に意味があるんです。
ロボットではなく人間が回収するからこそ、なるべく危険がないようにするためにルールが存在しています。
また「ゴミ清掃車が臭い」と言う人もいますが、ゴミ清掃車が臭いのではなく「各家庭の絞られていない生ゴミの汁が臭い」のです。その辺りを、もう一度考えてみてほしいとは思っています。
ハイターの中身入りは危険です。おはようございます。ゴミ清掃員の滝沢です。中身が入ったまま出されると回転板で圧縮されると破裂する恐れがあります。ハイターが目に入る等の恐れもありますので、中身を使い切ってお出しください。#ゴミ清掃員の日常 #滝沢の推し活はごみ分別 pic.twitter.com/yZwKQxTODD
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) June 19, 2023
「資源は二重袋ではない方がいい理由」と、ペットボトルのキャップを外すルール
――「資源は二重袋にしない方がいい」というのは、人の手で取り出すからですよね
そうです。資源やリサイクル回収の場合は、その袋ごと詰め込むのではなく、中身を取り出しているからです。
可燃ゴミの場合はそのまま燃やしますが、資源やリサイクル回収の場合とは違うということです。
二重袋にしてしまう方も、回収した後の工程を知らないから、そういう風になさっているのだと思います。
ですので、回収後の工程を知っていただくだけで、出す方も行動が変わるのではないかと考えています。
今日は容器包装プラ資源の出し方についてです。おはようございます。ゴミ清掃員の滝沢です。袋を結ばないと風で飛ばされるので結んでください。そして資源は二重袋だと中身を出すのが大変なので、二重じゃない方が嬉しいです!#ゴミ清掃員の日常 #滝沢の推し活はごみ分別 pic.twitter.com/mzj9LkussI
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) July 18, 2023
――例えば発砲スチロールの場合は、袋に入れた方がいいんですよね? 汚れていないからという理由で、そのまま出される方も多いとは思いますが。
そうですね。発泡スチロールは、回転盤で圧縮されるたびにとても細かく砕けていくようにできています。そのため、袋の中に入っていないと、広範囲に飛び散ってしまう恐れがあるということです。
ただ福岡のように有料袋に入れて出さないと回収してくれない地域では、この問題は生じないかもしれないですね。
7/25放送のジェーン・スー 生活は踊るでお話ししたのはコレです。おはようございます。ゴミ清掃員の滝沢です。発泡スチロールもそのまま出すと回転板に挟まれて細かく砕けて道路に溢れちゃいます。手間じゃなければ袋に入れてくれると嬉しいです!#ゴミ清掃員の日常 #滝沢の推し活はごみ分別 pic.twitter.com/hkm2D4qcdz
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) July 26, 2023
――次にペットボトルのキャップを外すルールについて教えてください。
ペットボトルはキャップがついているとつぶれないので、圧縮するとキャップが勢いよく飛んでいくという恐れがあります。だから、キャップは外してほしいというのが、お願いですね。
また、ペットボトルにキャップがついたままの場合は、僕たちが手で外すことになります。
世の中には、ペットボトルのキャップをどうしたらいいのかがわからない人が多いのだと思いますが、そういう人たちは、「キャップをゆるく閉める」ということをされていますね。
※編集部注;ペットボトルのキャップの取り扱いは自治体によって異なります。
――東京の場合は、キャップはどちらなのでしょうか?
23区で言えば、ほとんどプラ資源です。ですから、そちらで出してほしいとは思います。
ゴミとして捨てる場合は、可燃の方が多いのですが、埼玉の所沢ではプラスチックが不燃ゴミ扱いになっているので、住んでいる場所のパンフレットで確認はしてほしいですね。
――駅に設置されている自販機横の回収ボックスでは、キャップもラベルも付いたままのことがあります。この場合は、どのように取り扱われるのでしょうか?
あれは一般の回収とはまた別ですね。自販機の飲み物を補充するメーカーの方が行っていると考えられます。
大手飲料メーカーは、独自のリサイクル工場を持っています。そのリサイクル工場では、ラベルやキャップがついたまま回収します。
細かく砕いてから水に入れ、ラベルやキャップは水より軽いので浮き、ペットボトルは重いので沈みます。なので、上積みだけ掬い取れば、ペットボトルの部分だけを回収することができるという仕組みです。
この手法は、いくつかの自治体でも行っているところはありますね。
まだまだある、世間には伝わっていないゴミ出しルール
――他にもまだ世間には伝わっていないゴミ出しルールはあると思いますか?
「9割ルール」でしょうか。
ベルトなどのものは金属がついているため、何ゴミかわからないから出せないといって、家の中にため込んでいる方もいらっしゃいます。ですが「9割ルール」で、9割を占める部分が可燃ゴミであれば可燃ゴミで出して問題ありません。
※編集部注;自治体により異なる場合があります。詳しくは自治体のゴミ出しルールをご確認ください。
他にもマニキュアや除光液もどうすればいいのかがわからない方がいらっしゃいますね。除光液はアルコール成分が多いため、そのまま水道に流すと水質汚染になってしまいます。
布にしみこませて蒸発させるか、ふたを開けっぱなしにして蒸発するのを待つか、どちらかがいいですね。
――匂いが強い除光液はどうしたらいいですか?
家の中では蒸発するまで待つのは厳しいと思うので、ベランダなどで行うのがいいと思います。
他には、プラスチック資源の回収の日に、コンビニ弁当の箱を出す人が思った以上にいらっしゃいます。
リサイクルは、綺麗なものからしかできません。もし混ざっていると、ゴミ清掃員が手作業で分別をすることになります。
ただ日本人は、ゴミの分別に対してとても優秀だと思っています。ペットボトルをこれだけしっかり分別して出す国は、なかなかないと思います。
ただ、知らないから間違えた行動をとっているだけだと思います。
だから僕は周知活動には意味があると思っています。同じことでも、繰り返し何度も言っていくことが大事なんです。
以前、ピザの箱には油がついているので資源には出せず、可燃ゴミになるということをXに書いたのですが、そのコメントに「わかりました、滝沢さん。これからもピザの箱は段ボールで出したいと思います!」というリプライがついたこともあるんですよ(笑)
読んでいるつもりでいるのだと思いますが、自分の思い込みで見て、通じていない可能性もあるということです。
だからこそ、正しいことが伝わるまで、同じ言葉でも何度でも伝える必要があるなと感じました。
ピザの箱のツイートも、実は何度も投稿しています。
けれど、バズったのは10回目に投稿をした時でした。同じ言葉なのに、10回目でバズるというのは、それだけ読んでいない方がいたということですよね。
ですので、すべての人に伝わるまでは「この人また同じこと言っているよ」と言われたとしても、言い続けようと思っています。
――確かに繰り返し伝えていくことは大事ですね。今日もありがとうございました。
―― 書籍/活動紹介 ――
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