夏の自由研究にも!
家庭でできるエコ活動
8月は夏休みの自由研究シーズン。家庭でできるエコ活動を通して親子でSDGsを体験するきっかけにつなげましょう!ということで、滝沢さんに個人でできるエコ活動について話を伺いました。
【Profile】滝沢 秀一(たきざわ しゅういち)さん
お笑い芸人/ゴミ清掃員。
1976年生まれ。1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。その後2012年に芸人のままゴミ収集会社に就職。お笑い芸人とゴミ清掃員の二つの顔を持ちながら活動をしている。現在はゴミ清掃員としてゴミ学を世間に伝えたり、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)など、いくつもの本も出版している。
子どもの自由研究にオススメなのは?
――夏休みには宿題で自由研究をする子どももいますが、自由研究で出来るエコ活動はありますか?
自由研究というと、工作がありますよね。空き箱で何かを作ったり、ペットボトルで何かを作ったり。
ですがそういった工作は、本来は資源回収に出せるものが、最終的には可燃ゴミや不燃ゴミとして出されがちです。
私としては、工作よりも他のことをしてほしいなというのが正直なところです。
例えば筒状のポテトチップスの容器を「こうすれば分別できる」という研究をするのはどうでしょうか。
お菓子の箱も、物によっては可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源に分けることもできます。
他にも、自治体のゴミ回収のパンフレットを見て、ゴミの捨て方を調べるのも自由研究になると思います。
「30センチ以上のゴミは粗大ゴミになる(※)」「1回につき家庭ゴミは3袋から4袋までしか出してはいけない(※)」など、大人でも知らないことが沢山あるので、それを研究するだけでもエコ活動になるんです。
※ゴミの回収ルールは地方自治体によって異なります。
――エコ活動とは少し違うのですが、滝沢さんのTwitterに出ていた、水道のマグネット広告の使い方は面白いですね
水道のトラブルが書かれたマグネット付きの広告ですね。あれって、ポストに次から次へと入ってくるじゃないですか。ただ捨てるのももったいない気がしますし、捨て方も迷われている方もいます。自治体によっては、不燃ゴミになるところもあれば、可燃ゴミになるところもありますし。
ポストに入っているマグネットは子供の工作にしてもいいですね。おはようございます。ゴミ清掃員の滝沢です。水に浸けると剥がれるので、子供に絵を描かせて貼るとお手製マグネットができます。切れ端はうちの自治体は可燃ですが、地域によって不燃です!#ゴミ清掃員の日常 #ごみフェス pic.twitter.com/9spgkObjzX
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) May 9, 2023
そこでマグネット付きの広告を分解することにしました。マグネットを洗面器に水を張って、そこに一晩つけておくと、翌朝にはマグネットの部分と紙の部分が分解されているんです。
マグネットの方に絵を描いて、後は絵の形通りにハサミで切ったりして、子どもが遊んでいました。とても楽しそうでしたね。あと、推し活をしている人も、よくしているみたいですよ。
ベランダコンポストでも育てられる野菜、植物
――滝沢さんはコンポストを使って家庭菜園もされていますよね。お子様と一緒にされている動画もあって、とても楽しそうでした。家庭菜園でお勧めの野菜はありますか?
↓滝沢さんYou Tubeチャンネルより
夏野菜だとオクラですね。致死量か!?というぐらいにたくさん作れますよ(笑)
あんまり大きくなりすぎると、硬くて食べられなくなりますので、ある程度の状態で採っていました。
育てるのも苦労はしていないです。水をあげていただけなので。
他にもグリーンカーテンとして使われるゴーヤは、強い野菜です。
カリフラワーの一種で、カリフローレンというのも強いですね。どんどん成長していくので、若いうちにつまんで食べていました。
ナスは美味しいのですが、追肥を何度かしなくてはいけないので、家庭菜園初心者は大変かもしれません。
小松菜も虫がすぐに寄ってきて、すぐに食べられてしまいまうので、お勧めはできないですね。
また、夏ではないのですが(※)、唐辛子もいいですよ。簡単に育てられますし、異常なほどの量ができるんです。
おかげで沖縄の調味料コーレーグースを自家製で作るようになりました。唐辛子と泡盛で作るのですが、美味しいんですよね。
※唐辛子の種まきは一般的に4月中旬~5月上旬
――唐辛子は、近所のお店もプランターで作っていましたよ
作りやすいからね。虫も近寄ってこないし、虫よけにもなりますし。
――今まで家庭菜園をされていて、一番虫が来たのは何の野菜でしたか?
葉っぱものかな。ほうれん草も芋虫の小さいのが寄ってきて、葉っぱをすぐに食べられてしまったり。
葉ものは簡単そうに見えるのですが、虫が近寄ってくるから大変ですね。
――コンポストを使うなら、庭とベランダで違いはありますか?
違いは特にないですけど、気にするとしたら日当たりかな。
昔、盆栽を育てていたのですが、日陰に置いておくと、日を求めて変な形で伸びていったり、ずっと日が当たる場所だと葉っぱが焼けるので、少しずつ移動をさせることが大事ですね。
コンポストの中に米ぬかを入れるのもコツです。
米ぬかはバクテリアの好物なので、土の温度が上がりやすくなって、野菜が育ちやすくなります。
そもそも、たい肥としてはリンが不足しがちなので、そういう意味でも米ぬかを入れると補強できるんですよ。
米ぬかを入れて、いいたい肥になったとしても、そのコンポストはすぐには使えません。落ち着かせる必要があるからです。
落ち着かせる前に使ってしまうと、バクテリアが野菜の根をご飯だと思って食べてしまうんです。
――それは、何日か置くということでしょうか?
一ヶ月ぐらいですね。なので、コンポストを使って家庭菜園を行う場合は、計画を立てた方がいいかもしれませんね。
夏、大人も楽しめるエコ活動
――大人も楽しめるエコ活動で、1人で楽しんだり、恋人、友人と楽しめることはありますか?
思いつくのは、やはり「知ること」なんですよね。
夏場って、東京はゴミが少ないんです。みんなが帰省をするからというのもあります。
そんな夏場の清掃工場は、いつもに比べると少しだけ余裕がある状態です。そういった時に、清掃工場に連絡して「見学をしたい」と伝えると、見せてくれる所もありますよ。
エコ活動は、やはり知ることから始めるのがいいと、私は思いますね。
そうやって、「知った」上であれば、キャンプもいいかもしれないですね。
ただ、コロナ以降にキャンプをする方が増えていて、9割の方が、そこにゴミを捨てていくそうです。
キャンプでも、ゴミは全部持ち帰るのがマナーです。それを知らない人たちが増えてしまったので、今まで無料で貸し出していたキャンプ場も、有料になったところもあるそうです。
有料にしたらゴミを捨てる人は減ったものの、今度は有料の場所の近くで勝手にキャンプをする人もいて、そこにテントを丸ごと置いて行ったり、壊れた椅子を捨てたり、迷惑行為をする人もいるそうです。
エコ活動って、大げさなことはしなくてもいいと思います。
たとえばキャンプに行って自然をリスペクトしながら、「ここで焚火して良いかな」とか「自然への影響を減らすにはどうしたら良いかな」とか、考えたり知ったりすることがエコ活動だと思います。
――Twitterで挙げられていたものなのですが、ロスフラワーってどういうものですか?
お花屋さんの花って全部が売れるわけではなく、残ってしまうものもあって、廃棄されているんです。
それがロスフラワーで、ロスフラワーを使ってドライフラワーにしたり、ハーバーリウムにする活動が始まっています。
「お花が売れ残ったら廃棄する」のではなく、「これを何に変えよう」という発想がエコ活動とリンクしています。
私がゴミ回収をしている時に、枯れ葉を回収することもあるのですが、そういうのも本当に回収する必要なんてあるのかなと思っています。土の上に置いておけば、いずれ土にかえるものなので。
物事を知って、考え方を変えていく。それがエコ活動ではないでしょうか。
――本日もありがとうございました。
―― 書籍/活動紹介 ――
SDGsはもちろんのこと、サステナブル・エシカルな視点から記事を制作する編集者・ライターの専門チームです。社会課題から身近にできることまで幅広く取り上げ、分かりやすくお伝えします。
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