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「買ったはいいけれど。そのゴミ、どうやって捨てますか?」 –ゴミ清掃芸人 滝沢さんの部屋 – SDGsメディア Link with SDGs

ゴミ清掃芸人
滝沢さんの部屋

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TAKIZAWA ROOM

「買ったはいいけれど。そのゴミ、どうやって捨てますか?」

「買ったはいいけれど。そのゴミ、どうやって捨てますか?」

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今回は買ったり、もらったりしたものの、どう捨てればいいのかわからないゴミの捨て方についてお話を伺いました。
悩んでいる「その」ごみの出し方を滝沢さんに教えてもらいましょう。

【Profile】滝沢 秀一(たきざわ しゅういち)さん

お笑い芸人/ゴミ清掃員。
1976年生まれ。1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。その後2012年に芸人のままゴミ収集会社に就職。お笑い芸人とゴミ清掃員の二つの顔を持ちながら活動をしている。現在はゴミ清掃員としてゴミ学を世間に伝えたり、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)など、いくつもの本も出版している。

サークル

9割ルールのあるゴミ

――前回のお話の中で、包丁を捨てる際は段ボールで挟んで出すとのことでしたが、この段ボールは邪魔になりませんか?

包丁は不燃ゴミなので、砕いて埋め立てています。

また柄の部分まで金属でできている包丁の場合は、資源として回収しているところもあります。その際の段ボールは、確かに邪魔になるので、回収先で段ボールをはがす作業を行っています。

ですが、段ボールがないと清掃員がケガをするリスクが高くなるため、やっていただいた方がありがたいです。実際、何もつけないで出してほしいと言う自治体はおそらくないと思います。

 

 

 

――金具が付いているバインダーは「素材の9割が燃えるなら一部が不燃でも可燃で出してもOK」という自治体もあるそうですが、この「燃えない1割」はどうなりますか?

可燃として燃やすので、不燃ごみは燃え残りますね。

この燃え残ったものは、焼却炉の定期メンテナンスの際に取り除いています。昔の焼却炉は、燃え残ったものは手作業で取り出しをしていたらしいのですが、今はメンテナンスで一気に行っていると思います。

 

 

 

可燃ゴミの中に紛れていて一番困るのがアルミだそうです。

焼却炉は850度で燃やすのですが、アルミは850度よりも下の温度で溶けてしまうため、溶けた後に焼却炉にへばりついてしまうんです。へばりついたアルミも定期メンテナンスの時にはがすのですが、中々取りづらいそうです。

この定期メンテナンス・修繕費は年間で5、6億かかるそうなので、問題のある不燃ごみは少ない方がいいということですね

9割ルールはありますが、ベルトなどもできれば金属の部分は外して不燃ごみに出して頂いたほうがいいですね。

「これぐらいいいだろう」と思っていることって、多くの人たちが思っていることですので、収集した場所には膨大な数のベルトが集められているわけです。なので、一人ひとりの意識が重要ですね。

 

――ちなみに9割ルールというのは、どのゴミにも適用されるんですか?

いいえ。適用されるのは可燃ゴミだけで、資源回収や不燃ごみには適用されません。
※編集部注:ゴミ出しのルールは自治体によって細かくことなりますので、詳細は自治体のホームページやパンフレットをご確認ください。

サークル

女性が一番悩んでいるゴミ

――買ったはいいけれど、捨て方がわからないものと言われて思い浮かぶものはありますか?

化粧品類などでしょうか。可燃なのか不燃なのかわからないものが多いと聞きます。

私が行なっている講演会でも、毎回必ず化粧品の捨て方についての質問がありますね。なぜなのかというと、パンフレットに載っていないからなんです。

このパンフレットはおじさんが作っていたりすることもあり、化粧品の発想がないのかもしれません。

 

化粧品も、ものによって特徴があります。

液体が入っているものもありますよね、化粧水とかは中身を布か何かに浸み込ませて、布は乾いたら可燃ゴミに出し、化粧水のビンは中を洗うことができないので不燃ゴミでだします。

マニキュアは、中が乾燥して乾いているのであれば出す必要はなく、そのまま不燃ゴミで捨てることができます。

 

ファンデーションの容器には鏡がついているものがあるので、外した方がいいのですが、外すときに怪我をしてはいけないので、そのままの状態で不燃ゴミとして出して頂ければと思います。

化粧品用具は金属製のものがついていることが多いので、金属がついていれば不燃ゴミという判断になります。

 

 

 

――香水はどうしたらいいですか? 蓋があかないものもありますが、そういう場合は何度も布に振りかけてから捨てるのでしょうか?

そうして欲しい気持ちはありますが、香水の場合は一回一回押す作業をするのって大変ではないですか? それに匂いも残ってしまいますし。

また海外製の香水などは、日本のゴミ事情に合わせて作られているわけではないので、蓋が開かないこともあります。

香水の残っている分量にもよりますが、たくさん残っているのであれば、メルカリのようなところで中古品として売るのがいいと私は思います。

香水の買取を行なっているエコリングさんは、同じものが集まればそれを一つにまとめて売ったりもしているとおっしゃっていました。

 

サークル

まだまだある悩ましいゴミ

――化粧水や香水の話でも出てきましたが、中身入りの容器が捨てられていることは多いですか?

結構ありますよ。豆板醤とか、オリーブとか、ピクルスとか、1回は使うものの最後まで使い切るまでに賞味期限が来てしまうものなど、食べ物関係ではよく見る光景です。

これも、「これぐらいならいいだろう」と思って、中身入りのまま出されるのだと思うのですが、そう思っている方が多いので、リサイクル工場には大量の中身入りのビンのものがあります。

そういう場合は、中身入りのものは横に避けておいて、後で全員で中身を取り出すという作業をしています。これがなかなか大変な作業のようです。

 

 

 

――個人の「これぐらいならいいだろう」という感覚が、ゴミ処理施設の業務量を増やしてしまうということですね。中身はきれいに洗った方がいいですか?

綺麗に…というよりも、常識の範囲内で洗っていただければ大丈夫です。

洗わずに出すことで何が問題になるかというと、食べ物の場合は、収集場所にありがきたり、ゴキブリが来たり、ネズミが来ることもあります。そういうことを避けるためにも、簡単で良いので洗ったほしいというのがあります。

 

また意外と多いのが、ペットフードです。猫が食べきれなかったものを、そのまま出されている方もいます。そうすると、やはり虫がたかっているんです。

出した後すぐに回収するわけではなく、出してから二、三時間後に収集車が来ることもあるので、特に夏場は虫がわきやすいので綺麗な状態で出してほしいというのはあります。

 

――ビンについているラベルも外した方がいいですか?

ラベルは取らなくても大丈夫です。

どうリサイクルをするビンなのかにもよりますが、おおむねビンはアスファルトの下地になるような路面材になります。路面材にする時は、ビンを一度溶かしてリサイクルをするのですが、この溶かす工程の時にラベルが溶けてしまうのも、あってもなくても問題ありません。

 

缶の場合も同じです。スチール缶はとても高い温度で溶かします。

そのため、ラベルやシールはその時に溶けてなくなってしまうので、気にしなくても問題ありません。

 

おそらく、ラベルやシールを外すというのは、ペットボトルの時のイメージがあるからかもしれませんが、ビン・缶は中を綺麗にしていただいていれば大丈夫ですよ。

 

 

――パンフレットや自治体のホームページを見ても捨て方がわからなかった場合、どうすれば良いでしょうか?

清掃事務所に電話をして下さい。捨て方は自治体によっても違いますし、クレームの電話ではないので、嫌がられることもありません。

日常生活を送っていると、カテゴリーしづらいものが出てくるものです。例えば、子どもが作ってきた紙粘土の作品とかもそうです。硬いから燃えないのではないかとか思いますよね。私にも捨て方がわからないものがあるのですが、その時は電話をして聞いています。ちなみに紙粘土の作品は、その時は可燃ゴミに出してくださいと言われました。

 

ゴミの捨て方で一番問題なのは、「なんとなく、こうかな」という気持ちです。その感覚であっていればいいのですが、違っていることもあります。

「なんとなく」で判断して出している方は、おそらく間違っていても清掃員がいいようにしてくれると思っているからだと思います。それが、我々としては一番大変ですね。

なので、捨て方がわからなければ、ぜひ清掃事務所に電話をしてみてください。

――本日もありがとうございました。

 

―― 書籍/活動紹介 ――

  • ゴミ清掃員の日常~ゴミ分別セレクション~

    ゴミ清掃員の日常~ゴミ分別セレクション~

    滝沢 秀一 (原作・構成)/滝沢 友紀 (著)

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