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「それ、資源回収に出せないですよ!」 –ゴミ清掃芸人 滝沢さんの部屋 – SDGs専門WEBメディア Link with SDGs(リンクウィズSDGs)

ゴミ清掃芸人
滝沢さんの部屋

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TAKIZAWA ROOM

「それ、資源回収に出せないですよ!」

「それ、資源回収に出せないですよ!」

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今回は滝沢さんに、資源回収の日に間違って出しがちなもの(「資源」と勘違いされることが多いもの)についてお話を伺いました。 出し方次第で「資源」がただのゴミにならないように、滝沢さんに教えてもらいましょう。

【Profile】滝沢 秀一(たきざわ しゅういち)さん

お笑い芸人/ゴミ清掃員。
1976年生まれ。1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。その後2012年に芸人のままゴミ収集会社に就職。お笑い芸人とゴミ清掃員の二つの顔を持ちながら活動をしている。現在はゴミ清掃員としてゴミ学を世間に伝えたり、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)など、いくつもの本も出版している。

サークル

匂いや油がついているものは「資源」にはならない!?

――滝沢さんのTwitterで洗剤の箱は匂いがついているからNG。ピザの箱は脂がついているからNGと書かれていましたが、これはどうしてですか?

紙を集めているのは、新しい紙に生まれ変わらせるためです。そのため、匂いがついている紙は、リサイクルをしても匂いが残ったままになるため、再生紙として使用できません。

匂い付きの紙というふうに販売していれば別ですが、そうではない場合は、匂いがついていることが問題になります。

意図しない匂いは公害と言われてしまうこともありますし、人によって好きな匂い嫌いな匂いも違っているため、再生紙は無臭であることが求められています。

 

 

 

――再生した後も、一度ついた匂いは残ってしまうのですね。

リサイクルって、万能なわけではないんですよ。綺麗なものからしか、新しい製品にはなりません。

洗剤の箱、線香の箱などは、匂いが強く残っている箱の代表ですね。

最近は減りましたが、雑誌の付録でシールをはがすと香りがするという紙が一時期多かったのですが、これは強烈なにおいがするのでリサイクルをする際の大敵でした。

 

次に油についてなのですが、油がついた紙をリサイクルするとどうなるのかと言うと、リサイクル紙に丸い点々があちこちについてしまいます。シミみたいなイメージですね。

紙を再生するときには、その紙を水に溶かすのですが、油は水では溶けないのでシミとなって出てきてしまうのです。

そのためピザの箱もそうですし、お弁当が入っていた箱や唐揚げが入っている箱なども再生はできません。

 

 

――金・銀色の紙も「資源」として回収できないとTwitterに書かれていましたが、特殊な素材が使われているからですか?

折り紙の金とか銀は、他の紙とは紙質が違いますよね。また、メタリックな色と言うだけで、資源回収には出せません。

私のTwitterではカレーのルーの箱を例に挙げていましたが、他にも市販の風邪薬だったり鎮痛剤だったり、薬の箱も金や銀色の箱だったりします。他にも、美容液の箱もメタリックなものが多いので、資源回収には出せません。

 

ただ豆乳パックは表側は紙ですが、裏側は銀色のアルミのような素材ですよね。豆乳が常温で日持ちするように作られている特殊なものです。ですが、紙屋さんにもよるのかもしれませんが、雑古紙をリサイクルしているところでは豆乳パックでも受け入れています。地域によって違うということはありますね。

 

また、特殊なコーティングがされている紙。例えば紙コップもそうです。

紙コップは、水を入れてもしみこまないようになっていますよね。あれは紙にプラスチックがコーティングされているからです。雨に濡れても耐えられる紙袋とかも同じです。

先ほどもお伝えしましたが、紙は一度水で溶かしてからリサイクルするため、プラスチックがコーティングされているとリサイクルができません。

 

サークル

通販でよく見るビニールがかぶさった段ボール

――Twitterで緩衝材として入っている、段ボール一枚にビニールが巻かれたものも資源回収に出せないと書かれていました。こういったものが出されていた場合は、どうされていますか?

段ボールのリサイクルで、ビニールとかナイロンというのは大敵です。こういったものが出されている場合は、回収しないこともあります。

 

段ボールではなく紙になるのですが、通販などで表側は紙でできているものの、内側にはプチプチがついているものもありますよね。こういったものも、リサイクルはできません。

ビニールやナイロンは可燃ごみの日に出し、紙や段ボールは資源回収の日に出してほしいですが、分けるのが面倒、分けることができないのであれば、可燃ごみの日に出してもらえればと思います。

あと多いのが、カレンダーですね。カレンダーも筒状のまま出される方がたくさんいます。

これぐらいいいだろうと思われて出しているのだと思うのですが、「これぐらいいいだろう」と思われるのが、その方だけではなく多くの方ですので、もし回収した場合は後でこちらで一つ一つめくるのではなく可燃ごみにまわしていますね。

 

 

 

――茶色い段ボール以外にも、白色や印字されているものもありますが、それも「資源」になりますか?

それは問題ありません。リサイクルの過程で落ちます。また匂いについても、段ボールは1、2回ぐらいしか使わないものなので、匂いが染みついていないため、強い匂いが染みついている以外であれば問題ありません。

サークル

消費者が勘違いしてしまいがちなもの

――前回のお話で、プラマークや紙マークは消費者向けのものではなく、企業側がリサイクルをしていることを示すマークであると伺いました。これを勘違いをせずに出す方法はありますか?

資源回収で出せるものは、意外と範囲が狭いと思います。それと間違えてしまうのは、おそらくパンフレットを見ないで、なんとなくでゴミを出されているからではないでしょうか。

 

例えばシャンプーの容器やハイターの容器をペットボトルの日に出されている方がいます。裏側にはプラパークがついているので、ペットボトルの日に出していいと思われているのだと思います。

ですが、ペットボトルの日は、プラスチックの回収をする日ではなくPETを回収する日です。そのため、ペットボトルの日にシャンプーやハイターの容器が入っていると、ゴミ扱いになり、我々が手で取り除かなくてはいけなくなってしまうという手間が発生してしまうということです。

 

こういったことを間違えないようにするためには、やはり一度パンフレットやHPを見てもらうことが大事だと思います。

例えばプラスチックは、東京23区では可燃ゴミになりますが、地方に行くと焼却炉に入れるのが都合が悪い場合もあり、不燃ゴミ扱いにしているところもあります。

自治体ごとに決まりごとが違いますので、自分が住んでいる場所では、どういう区分でゴミを分ける必要があるのかを、確認してもらうことが、間違えた日にゴミを出さないことにつながるのではないでしょうか。

 

 

 

――清掃員の方たちは「資源」とそうではないものの勉強を、いつされているのでしょうか? 講習会などがあるのですか?

いいえ、私の地域では講習会は特に行っていません。実際に回収しながら覚えていきます。現場で先輩から教わったり、先輩の分け方を見て教わったり、あとは自分で調べたりもしますね。

 

この前もあったのですが、80歳になるベテランが「これ不燃ゴミになるの知ってた?」と言ってきたりされることもありますし、私もまだまだ知らないことがあります。

その時に言われたものは、太い木の幹でした。木の幹だったら、燃えると思いますよね? ですが、太い木の幹では全部を燃やしきれないんです。だから不燃ゴミになる、ということを教えてもらいました。

そんな話をしながら、みんな知識をつけていくんですよ。

 

――今回もありがとうございました。次回は危険なゴミについてお話を伺いたいと思います。

 

―― 書籍/活動紹介 ――

  • ゴミ清掃員の日常~ゴミ分別セレクション~

    ゴミ清掃員の日常~ゴミ分別セレクション~

    滝沢 秀一 (原作・構成)/滝沢 友紀 (著)

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