夏の今こそ意識したい! 綺麗な海や川を守るためにできること
Link with SDGsでは、5月21日に福岡県の海辺を清掃しました。
ゴミ清掃を通して、ペットボトルや缶、ビニール袋をはじめ、使い捨てられた縄や網などの海に関連するゴミから、タイヤや塵取りなど、意外なものまで回収してきました。
さらに夏休みシーズンに入ると、人が増えるとともに、海や川のゴミも増えがちです。
日本の海や川はどうなっているのか、少しでも海や川を綺麗に保つために、私たちに出来ることはあるのかについて、滝沢さんにお話を伺いました。
【Profile】滝沢 秀一(たきざわ しゅういち)さん
お笑い芸人/ゴミ清掃員。
1976年生まれ。1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。その後2012年に芸人のままゴミ収集会社に就職。お笑い芸人とゴミ清掃員の二つの顔を持ちながら活動をしている。現在はゴミ清掃員としてゴミ学を世間に伝えたり、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)など、いくつもの本も出版している。
大量のレジ袋からバイクまで……清掃イベントで印象に残っている出来事
――海や川のイベントに参加された中で、印象に残っているゴミはありますか?
掃除をしに海や川に行くこともありますが、本当に色々なものが捨てられていますよね。
家庭や町から流れてくることもあれば、海外からの漂着ゴミもあります。時々見かけるのですが、タイヤが落ちていることもありますよね。昔の船着き場に、なぜかタイヤがいくつもあるというイメージがありましたが、どこからか流れてきたものだったんですね。
今は少なくなりましたが、レジ袋が有料化される前は、レジ袋が大量にあったことも。
ペットボトルもよく流れています。ペットボトルは一度海や川に流されると、450年ぐらい漂うって言われていますよね。
家庭のゴミも本当に多いですし、瓶ビールのケースもあります。わざわざ海や川で捨てるわけはないと思うので、流されてここまで来たのかもしれません。ヘルメットや発泡スチロールも多いですね。
私は岡山で環境番組をしているんですが、発泡スチロールが流れ着いて、その上に土がかぶさり、また発泡スチロールが漂着して、その上に土がかぶさり…土層みたいになっているのを見ました。
昔、貝塚があったじゃないですか。あれは昔の人が貝を食べて、それを捨てていたから貝塚ができたと言われています。
今は発泡スチロールが土層のようになっているので、1000年後の人たちがプラスチックの層を見て、この時代の人はめちゃくちゃプラスチックを使っていたんだろうなと言ったりするんでしょうね。私たちの世代を代表する物って、プラスチックだと私も思います。
海も汚いんですが、川も汚いですよね。
川掃除をしたことがありますが、海も川も8割が日常のゴミです。
考えたら当然ですよね。海は川を通ってきているので。川も葦が生えているところであれば、そこにゴミが引っかかって海に流れないのですが、コンクリートでできた川は引っかかるものが何もないので、川で流れているものがそのまま海に流れていきます。
東京はコンクリートで固められている川が多いので、海も汚れ放題なんです。
ある程度大きなものになると、ボランティアでも拾ってはいけないんですよね。許可が要るようです。
――今までで見た一番大きなゴミは自転車ですか?
バイクですね。タイヤも中々重かったけれど……何のタイヤなのかな。ダンプカーのタイヤかもしれないですね。始めて流れているのを見た時は驚きましたね。
家庭のゴミが川へ流れている
――家庭のゴミが流れていると実感したことはありますか?
たくさんありますよ。お惣菜が入っているプラスチックの容器や、スーパーで売られているものとか。そういうものを、わざわざ川に持って行って捨てたりはしないですよね。お菓子の袋もそうです。
――お菓子の袋は、たしかにたくさんありますね
あとはボールも多かったですね。子どもが遊ぶようなゴムボール。4、50分くらい川を掃除するだけで、4つ5つ見つけました。これもわざとではないと思います。
――キャッチボールをしていて、川に落ちたのかもしれないですね。
そうですね。無理して取る必要もないと思います。危ないですし。
――福岡の清掃をしていて意外と多かったのが、歯ブラシなどそういうものも多かったです
生活のゴミが流れてくるんですよね。川にゴミが流れているのは、集積所に出したゴミが風で飛ばされて川に行くからだと思います。
そもそも川沿いを集積所にしているところが多いので、川に流されやすいんです。
集積所を自分の家の前にしたくなくて、川沿いを集積所にすると反対をする人が少なく、だから多いんだと思います。
集積所の家庭のゴミが川に流れているなんて、想像もしていない人が多いかもしれませんね。ですが、遠く離れていても川に実際に流れています。
山の上にあったゴミが、三ヶ月後には海に届いたというデータがあります。山の上のゴミが海に届くんですから、街や集積所にあるゴミが、川や海に届くのは当たり前なんです。
家庭のゴミが海や川に流れないようにするには、先ほども言いましたがゴミを出すときに、袋をしっかり閉めること。これに尽きますね。
美しい海や川を守るためにできること
――海や川で遊ぶときに、ゴミを出さないようにするにはどうしたら良いでしょうか?
必要なもの以外は、なるべく持っていかない方がいいですよ。何でもかんでも持って行って、不要になったら向こうで捨てればいいという考えはよくありません。
そういうことを考えずに持っていく場合もあかもしれませんが、持っているものが「ゴミ」になった時点でどうしようと困る方もいると思います。
海や川もそうですし、キャンプをする時も、現地にはゴミ箱はないと思って遊びに行くのがいいですね。
遊ぶ場所にゴミ箱が置かれていることもありますが、そういうゴミ箱は山盛りになっていることがほとんどです。しかも、山盛りでもそこにゴミを置いたり、ゴミ箱の周りにゴミを置く人もいます。ゴミを持ち帰るのが嫌なんでしょうが、それは海や川を汚しているのと同じだと理解する必要があります。
遊びに行った先で買い食いをすることもあると思いますが、ゴミも持ち帰る前提で買ってほしいと思います。
ゴミの6割ぐらいは商品のパッケージだと言われているので、「どこかで捨てればいい」という考えを持たずに商品を買うこと。それが海や川を守ることに繋がります。
――高速道路のパーキングエリアのゴミ箱もよく酷いことになっていますよね
そうですね。パーキングエリアのゴミ箱があふれることも、海や川を汚すことに繋がります。山のゴミが三ヶ月後には海に流れているんですから。
ただ、山盛りになっていても気にせずにゴミ箱のそばに捨てていく人たちは、そのゴミが風で飛ばされ、川に流れていることを知らないのだと思います。
知ることで、人の行動は変わっていくと思うので、こういう話は今後もし続けていこうと思います。
――今日もありがとうございました。次回は家庭でできるエコ活動について、お話を伺いたいと思います。
―― 書籍/活動紹介 ――
SDGsはもちろんのこと、サステナブル・エシカルな視点から記事を制作する編集者・ライターの専門チームです。社会課題から身近にできることまで幅広く取り上げ、分かりやすくお伝えします。
他の記事を見る
OTHER ARTICLE