どうする!?夏のゴミ問題
夏は生ゴミの捨て方をひときわ注意しなければならない季節。また、季節ならではの消費物も増える時期です。間違えた対策をしないための方法を滝沢さんにお話を伺いました。
【Profile】滝沢 秀一(たきざわ しゅういち)さん
お笑い芸人/ゴミ清掃員。
1976年生まれ。1998年にお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。その後2012年に芸人のままゴミ収集会社に就職。お笑い芸人とゴミ清掃員の二つの顔を持ちながら活動をしている。現在はゴミ清掃員としてゴミ学を世間に伝えたり、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)など、いくつもの本も出版している。
夏に気を付けたい生ゴミの廃棄方法
――夏に気を付けたい生ゴミの廃棄方法はありますか?
夏の生ゴミの出し方で、よく見かけるのが冷凍をしている方です。生ゴミを冷凍することで、匂いも抑えられるためいいのですが、冷凍をする際に生ゴミを絞らずに水分があるまま凍らせている方がほとんどなのが問題です。
生ゴミを凍らせていると、それがいずれは溶けるということが頭の中から消えています。可燃ゴミの日に、ゴミ袋の中に冷凍した生ゴミをポイっと入れて、集積所に置いておく。捨てた本人は気付かないのですが、私が回収に行くときには冷凍されていた生ゴミは溶けていて、水浸しの生ゴミが放置されている……。なので、冷凍する前には生ゴミを一回ギュッと絞ってほしいですね。
生ごみの汁を絞ってくれると嬉しいです。おはようございます。ゴミ清掃員の滝沢です。焼却技術は昔よりアップしていますが、水分を切らないと燃えにくいごみとなります。燃えにくいと燃やすためにエネルギーを注ぐ無駄な税金が使われるので、一回だけ絞ってくれると助かります!#ゴミ清掃員の日常 pic.twitter.com/NZocxcaovC
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) January 9, 2023
あと夏の食べ物って、冬の食べ物に比べると圧倒的に水分が多いんです。野菜でも果物でも、切った時は水分が出ていなくても、放置しておくと出てくるものがたくさんあります。
代表的なもので言うと、スイカの皮とかもそうですよね。スイカの皮は、先に絞っておくことはできないので仕方ないのですが、生ゴミは水分が多いということを覚えておいてほしいです。
そして、使う分だけを水洗いをするという風にすれば、余計な水分がつかないので、多少は生ゴミの水分も減るのではないかなと思います。
――生ゴミで、水分以外にも気を付けることはありますか?
生ゴミに関していえば、水分だけ何とかしてもらえれば、後はしょうがないと思っています。
ただ、本音を言えば、みなさんがコンポストをやって頂けたら、という気持ちはありますね。コンポストを使えば、生ゴミは可燃ゴミの日に出さなくてもよくなりますし、夏だと分解が早いので、4、5日でなくなったりしますよ。
――そういえば、Twitterで手提げ袋の中にコンポストを入れているのを見たのですが、あれはなんですか?
東中野で拠点回収というのを始めたんです。手提げバッグみたいなものの中にコンポストが入っていて、その中に生ゴミを入れて、カシャカシャと振るんです。そうすると、生ゴミがバクテリアによって分解されていきます。
コンポストの問題って何だろうと考えた時に、虫が来るんじゃないかとか、匂いが発生するんじゃないかとか、この土を捨てられなくなったらどうしようとか、そういうことだと思ったんですね。
だから100%失敗しないコンポストと名付けて、生ゴミを入れた手提げコンポストを、こちらに持って来てもらえれば、新しい手提げコンポストと交換するということを始めました。
つまり、仕上げ発酵は、全部こちらで行うということです。そうすることで、虫も匂いも気にしなくてすみますし、土が捨てられなくなるという心配もなくなります。
これが反響を呼んでいて、今度静岡県の島田市でも行うことが決まりました。日本全国で広がっていったらいいなーと、思っています。
――コンポストの輪が広がっているんですね。やっぱり、コンポストは効果的なのですね。
そうですね。
小平市のある一角だけ、明らかにゴミの量が少ない場所がありました。それがなぜなのかを調べてみたら、そこにコンポストの団体があったそうです。考えてみたら食べ物に関するゴミって、可燃ゴミの40%を占めているんで、コンポストをしている人が10人集まれば、中々の量になります。
これからの時代で、コンポストはキーワードになるのではないでしょうか。
夏の家庭ゴミと、正しい捨て方
――夏のゴミで多いのはどんなものですか?
多いのはペットボトルです。その次がビール缶かな。ペットボトルは、ペットボトルを制したら夏を制すると言えるぐらいに、圧倒的です。
ペットボトルは大人も子どもも飲みますし、スポーツをしている方は1日に何本も飲んだりするので、とにかく量が多いです。集積所を見てみてほしいのですが、ペットボトルの日は本当に嫌になるほど出てきます。
ただ気を付けてほしいのが、捨てる時は必ずキャップを外してほしいということです。
回収車でペットボトルを圧縮しながら回収しているので、キャップがされたままだとペットボトルが圧迫されてキャップが勢いよく飛ぶんです。
私の同僚も、キャップが眉間に当たって血だらけになったことがありました。ペットボトルにキャップがついているものは、我々にとっては凶器と同じです。
またキャップだけではなく、ラベルも外してほしいです。ペットボトル工場みたいなところに集められた後、ラベルは人の手で一つずつ外しているので。
【ごみかるた!】の時間
『き』 キャップを取らないペットボトル 凶器になるから必ず取って‼︎
清掃車で圧縮しながら回収しているので、キャップが外れていないと潰れずに弾丸のようなスピードで飛んできます。鼻にぶつかった友達は鼻血まみれで帰ってきました。#ごみかるた #絵・本田しずまる pic.twitter.com/5w0rwl1Dfg
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) January 17, 2022
――ビール缶は、捨てる時の注意点はありますか?
ビール缶は、一度洗ってほしいということですね。アルコールの匂いって、かなりきついものがあります。
1缶だけなら大したことはないと思いますが、それが何百、何千となってくると…。また甘いコーヒーが入っていた缶と一緒に捨てられていると、独特の嫌な臭いになります。
食器を洗った時の残りの水でもいいので、軽くゆすいでもらえるとうれしいですね。
匂いが残ったままだと虫も来るので、お互いにとっても衛生的に良いと思います。
――飲料水は、中身が残っている場合も多いんですか?
多いですね。捨てる方からしたら、ただのお茶だからという意識かもしれませんが、ゴミ清掃員からするとお茶じゃない可能性もあるという恐怖があります。お茶のラベルがついたままでも、お茶以外のものが入っていることもあるので。なので私の場合は、中身入りのものは回収しないようにしています。
中身入りのものを回収してきてしまった場合は、工場で手作業で1本1本流しているので、中身は出していただけると嬉しいですね。
――制汗スプレーや日焼け止めスプレーも、全部中身を使い切った方がいいのでしょうか?
そうですね。基本的には全部使いきってからというのが、お約束です。スプレー缶を買うときに、注意して見てほしいのが、使い切りができる仕組みになっているかどうかというところです。スプレー缶の裏側に突起のようなものがあって、それを押すと最後までスプレーを出し切ることができる商品もあります。
またスプレー缶は、穴を開けたら資源の日に出すことができる自治体もあります。ただ穴をあけても不燃ゴミの日に出さなくてはいけない自治体もありますので、今自分が住んでいる地域はどうなっているのかを確認された方がいいと思いますね。
集積所に虫が湧かないための対処法
――夏場で気になるのが、集積所で虫が湧いていることなのですが、虫が湧かないためにはどうしたらいいでしょうか?
虫が湧いたり、カラスが寄ってきたり、ゴキブリが近寄ってくるのは、多くがゴミ袋をしっかりと閉めていないからなんです。軽く結んでいるだけなど、意外と閉めない人って世の中にはたくさんいます。
あとは紙袋に入れて集積所に出す人もいます。東京23区では紙袋に入れて出すのは違反ですが、それを知らないのかもしれません。
虫を近寄らせないようにするには、中身が出ないようにゴミ袋をしっかり閉めることと、水分を外に出さないこと。水分もコバエが好きなので。この二つを守ると、虫が湧く確率は減るのではないでしょうか。
――本日もありがとうございました。次回は綺麗な海や川を守るために出来ることについて、お話を伺いたいと思います。
―― 書籍/活動紹介 ――
SDGsはもちろんのこと、サステナブル・エシカルな視点から記事を制作する編集者・ライターの専門チームです。社会課題から身近にできることまで幅広く取り上げ、分かりやすくお伝えします。
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