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西日本工業大学 – SDGs企業紹介|リンクウィズSDGs

SDGs活動紹介

カラフルボーダー

SDGs OPERATIONS

持続可能で安全な家づくりを目指し
制震デバイスを開発

西日本工業大学

災害の多い日本で、いかに災害に強い木造住宅を作るか

西日本工業大学、デザイン学部建築学科の古田研究室が取り組んだのは、複数回の震度7の地震でも倒壊しない家づくりです。きっかけは、東日本大震災や熊本地震でした。熊本地震では2回の震度7があり、2回目の地震で現行の建築基準法を満たしていても倒壊したのです。現在の耐震基準では、2回以上の震度7に耐えるようにはなっていません。

そこで、古田研究室では複数回の震度7にも耐えるようにと、研究を重ね、耐震性能と制震性能を合わせ持つハイブリッド構造の制震デバイス「ダイナミックファスナー®」を完成させました。木造住宅に使う筋かいの金物をこのデバイスに変えるだけで、複数回の強い地震にも倒れず、損傷を制御する家を実現します。

 

 

また、地震後の損傷度もシミュレーション(地震応答解析)できるアプリを同時に開発しました。筋かいや木材などの耐力要素となるものをアプリに入力するだけで、その地震に対する損傷度(層間変形角)がすぐに確認できます。

このデバイスを木造住宅などに用いれば、SDGsの「安心して住み続けられるまちづくり」、廃棄物などが出ないことで「エネルギーをクリーンに」すること、「気候変動への対応」、「陸の豊かさを守る」ことにもつなげることができるでしょう。

 

「なかやしき株式会社」とのパートナーシップによる取り組み

西日本工業大学は2022年7月、古田研究室が開発した「ダイナミックファスナー®」の普及を目的とし、住宅資材の総合販売を手掛ける「なかやしき株式会社」と産学連携協定を締結しました。
現在、古田研究室は制震効果を解析するソフトの無料提供などの技術提供を行い、「なかやしき株式会社」はこのデバイスの全国への普及・販売を行う、といったパートナーシップによる取り組みを行っています。
またこのパートナーシップは、研究室の学生を「なかやしき株式会社」への現場見学として学びに行かせる、学生が壁量などの計算をして現場の設計に生かすといった教育面にも役に立っています。「なかやしき株式会社」のモデルハウスの設計を学生コンペとし、募集したこともありました。

まだ認知度は高くはありませんが、リアルなデータに基づいて作った「ダイナミックファスナー®」により、住宅の寿命が大きく伸びることを考えれば、全国に広がるのも不可能ではないと考えています。

 

 

研究室から産業と技術革新の基盤をつくる

「ダイナミックファスナー®」は、強い地震にも耐える耐震性能と、地震のエネルギーを効率的に吸収する制震性能の両方を持つハイブリッド構造の制震デバイスで、次世代の耐震設計として注目を集めるものです。従来のものは、耐震か制震かどちらかしかなく、このハイブリット構造は画期的なものといえます。CLT(直交集成板)への構法適用として、特許も申請しました。

この「ダイナミックファスナー®」は、地震に耐える鋼板のブリッジによる履歴減衰と、高減衰ゴムによる粘性減衰の高い地震エネルギー吸収能力により、以下の4つの安心・安全を実現しています。
①繰り返しの地震に強い
②安価な制震化
③品質安定・高耐久
④損傷制御

 

 

 

従来の住宅の寿命が30年〜40年とされていますが、このデバイスにより大地震を経験しても住み続けられる家となります。さらに従来どこにもなかった革新的なものでありながら、筋かいの中央部にマニュアル通りに取り付ければ大工さんの技術力に左右されず、効果を発揮します。
また、「つくる責任 つかう責任」にも配慮し、つくる責任として、ビスの一本まで国産品とし、信頼性のあるパーツを使っています。つかう責任としては「なかやしき株式会社」が、正しく設置できるよう社内教育を徹底しています。

北九州から次世代のまちづくりにつなげていきたい

私たちは、「なかやしき株式会社」と共に、ゆくゆくは年間5000戸に「ダイナミックファスナー®」設置を目標としています。

今、SDGsは華やかな側面が多く取りあげられています。
しかし私たちは、資金力は乏しいですが、地道にしっかりとした正しい数値に基づいた倒壊しない家づくりに取り組んでいます。この「ダイナミックファスナー®」が広まれば、多くの人々が安心して暮らすことができ、廃棄物などによるCO2削減にも大きく貢献でき、陸の豊かさも守ることができるでしょう。

さらに、このデバイスにより地域企業が成長すれば、雇用を生み出し地元・北九州の住み続けられるまちづくりにも役立つはずです。
「ダイナミックファスナー®」のエビデンスを元に、SDGs本来の概念にも合った多くの人々に長く安心して住み続けられる住宅を提供していければ幸いです。

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