お客様と向き合うことで見える
快適な住環境、持続可能な社会。
シロアリ駆除から太陽光発電まで、住環境を快適にするサービスを数多く提供しているサニックス。そこには社員全員が志す「当たり前」の価値観として、「快適な住環境を次世代につなぐこと」、「環境負荷の低いエネルギー」、「資源を捨てずに循環させる」など、SDGsの目指す考え方と共通点が多くあります。
1975年創業からどのようにSDGs的な価値観が浸透したのでしょうか。その経緯と思いを詳しくお聞きしました。
㈱サニックス
創業以来、一般家屋から、ビル、マンション、オフィス、レストランまでさまざまな生活空間の快適環境づくりを提供。近年では環境にやさしい発電事業も展開しています。次世代につながる社会の実現を目指しています。
創業者の思いそのものが、
持続可能な社会の実現へ
――廃棄物の燃料化リサイクル、太陽光発電などSDGsの掲げる目標に共通する事業が多くありますが、どのような経緯で今の事業を始めたのでしょうか。
私たちは企業理念である「次世代へ快適な環境を」を実現するために、お客様に提供するサービス1つ1つに丁寧に取り組んできました。
創業者の宗政伸一は、海外で実際に環境ビジネスを体験したことから、「日本の住環境の未来」について考えました。
日本の建物は比較的に新しさに価値があると考え、街の建物は定期的に建て替えられます。そのため日本での住宅の建て替え周期は30-40年ほど。しかし海外では、住環境の考え方が大きく異なります。リノベーションを繰り返しながら、その時代の人が暮らしやすいような住環境を整えているため、古い建物こそが価値があるのです。
宗政はその体験から、「30年で取り壊すような家ではなく、その場所で何年も住み続けられる建物を提供したい」との考えにより、住環境のメンテナンス事業を展開しました。
――創業者の思いそのものが「SDGs」的な発想ということですね。
はい。創業者がアメリカでシロアリ防除の仕事を見学し、「これなら日本でもビジネスになる」と思って始めた事業ですが、根底には「家を長持ちさせる」という思いがありました。その後は、マンションやビルのメンテナンス、基礎修繕工事、家屋補強システムなど、暮らしの問題を解決する事業を多く展開しています。
「お客様の問題をどう解決できるか」
がSDGsの第一歩
――次世代の住環境のビジネスからどのような経緯で、エネルギー事業に参入したのでしょうか。
今や我が社の柱でもあるソーラー・エンジニアリング事業、環境資源開発事業ですが、社会貢献を実現するために立ち上がったプロジェクトではありません。
その多くは、お客様のニーズに対応して広がってきた仕事です。
1990年後半から事業として展開することになった、廃プラスチック再生燃料による発電、廃液の浄化処理・リサイクルの「環境資源開発事業(ERD事業)」はその代表的な事例ですね。
――ERD事業参入のきっかけとなった経緯を教えてください。
参入のきっかけは、1990年代、医療系の廃棄物に関する規制が強化される中で、廃棄物の出し先に対するお客様のニーズをキャッチし、当社でできないかと考えたからです。
――産業系廃プラスチックの燃料化は、どのようにして思いつきましたか。
まず中間処理(焼却処理)工場を建設し、産業廃棄物処理事業に参入しました。
この事業を展開する過程でプラスチックのカロリーの高さに注目。「ただ燃やしてしまうにももったいない」「もともとは石油が原料。もう一度エネルギーとして再生できるはず」と、燃料化事業に着手しました。
さらに自社グループ内に発電所を建設し、この燃料を使った発電まで行う「資源循環型発電システム」を確立しました。
――当初から事業として成立すると考えていたのでしょうか。
もともとは「お客様の問題やニーズにどう対応するか」が始まりです。
実際には事業として成り立つまでにさまざまなトライアンドエラーを繰り返しています。「化石燃料の代替として、廃プラスチックが活用できるのではないか」という発想が現実となったのは、失敗できる環境があったからこそ。トップの強い思いと、その社内風土があるからERD事業がうまくいったのではないかと思います。
一人ひとりの人生に寄り添った教育
――ERD事業をはじめ、サニックスでは新たな事業に積極的に参入しているように感じます。社内風土が醸成できているのはなぜでしょうか。
最大の要因は、社員一人ひとりに会社の経営理念でもある「次世代へ快適な環境を」が浸透しているからだと思います。
私たちは社会の一員として責任を持って働くために、社員教育に力を入れています。
時代の変化に応じた社員教育を実現するためにどのようなことをすれば良いか、専門部署を開設し、研修内容について日々議論しています。
さらに、現場ではメンター制度を導入することで、新人社員がどのような問題で悩んでいるのかをヒアリングしながら、解決策を提示しています。
最近では、研修内容にSDGsも取り入れ、持続可能な社会についてのあり方について学ぶ機会もあります。
――社員一人ひとりに徹底した教育をおこなうことで、企業理念が浸透し結果的に良い仕事ができるということですか。
はい、私たちの社内では「仕事が教育で、教育が仕事」という理念が共有されています。サニックスが会社組織として成立しているのは、働く社員のおかげと考え、教育を徹底し、社員一人ひとりに寄り添った働きやすい環境を作ることで、仕事へのやる気を引き出し結果的に良い事業の創出ができているのだと思います。
――仕事のマインドを醸成した社員間の意識づくりで、仕事に対してどのような良い循環が生まれていますか?
社員教育を丁寧におこなうことで、社員の「マインド」が醸成されます。その結果、お客様のお困りごとに気づくことができ、「この商品・サービスって良いね」と言われる新規事業のアイディアのタネが思いつくのではないかと考えます。
事業は社会の価値につながっていないといけませんが、お客様に対しては「こんなに世の中のためになるから」というお勧めの仕方はしません。お客様自身が「いいね」と直接メリットを感じていただけるサービスを提供し、結果的に社会的価値のあるものへとつながる。そのような事業を推進しています。
そして企業だけが得をするような営業は、良い営業とは言えません。お客様が、「この商品が魅力的だから、この商品を買おう」と認められる良い商品を提供することで、結果的に社会への貢献ができると考えています。
SDGsの浸透に向けて
――社員教育に必要なのは、どのような考え方でしょうか。
私たちの提供するサービスについて、お客様のニーズは、潜在化していることが多いのが事実です。例えば、シロアリ消毒の必要性や重要性をご理解いただくことから始まります。また、「汚いところをきれいに、不潔なところを清潔にする」ということは、その現場が汚れているということです。そこに従事する人は「専門知識を持って、清潔な身なりのスマートな人」でなければ、ビジネスとして成り立ちません。そのためには、「仕事への使命感」が不可欠だと考えています。
――SDGsの課題の1つとして、社員一人ひとりにその考え方を浸透させるのが難しいと言われています。お話を聞いていると、マインドの醸成が重要ではないかと感じました。
その通りだと思います。お客様との仕事の向き合い方を学ぶ中で「仕事のために必要なマインド」を醸成することで、結果的にその仕事が社会貢献にもつながるものと考えます。
これは、創業時から当たり前のように受け継がれてきた社員教育が元になっています。この当たり前の試みが、今SDGsで求められている多様性にもつながるのではないかと感じます。
企業によって考え方がさまざまですが、私たちは企業としてごく「当たり前」なことを丁寧に実践しています。お客様、会社を支える社員がいてこそ、サニックスは成り立っています。
お客様の生活を豊かにするため、社員の生活を豊かにするため、1つ1つの仕事を丁寧に取り組む姿勢が、結果的に良い「アイディア」となり、社会にとって結果的に良い循環になるのだと思います。
――サニックスではSDGs的な考えが社員一人ひとりに定着しているように感じました。どのようなことを心がければ、SDGsが浸透するのでしょうか。
SDGsは企業にとって、社会への責任と「壮大なプロジェクト」のように捉えている方もいますが、実は一人ひとりの考え方を少しだけ変えるだけで良いと思います。
例えば、「お客様の役に立つサービスを提供したい」と考えるだけでも十分です。とても小さいことですが、お客様は社会との接点です。お客様にご満足いただき続けることが、結果的に社会を動かすのではないかと考えます。
先ほど紹介したプラスチックの再生燃料が、まさにその例だと感じています。お客様の悩みごとを解決するにはどのようなアプローチが良いか、お客様だけでなく、社会情勢を考慮したアプローチは何か、事業を行う中で「お客様に満足いただけること」を実践して、廃プラスチックを燃料にするアプローチを思いつきました。
また太陽光発電事業に本格参入した際も、「太陽光発電が世の中に必要なものであることは間違いないが、価格が高いとお客様に選んでいただけない」と、当時は珍しかった海外製品の導入や自社施工など、価格を抑えたシステムを実現しました。結果、多くのお客様にご支持いただけたものと考えています。
目の前の仕事に全力で取り組むことが
SDGsにつながる
――ありがとうございました。最後にサニックス流のSDGsの考え方について教えてください。
私達は、創業者の思いから1つ1つの仕事を取り組み、その中のトライアンドエラーから、今のビジネスを確立してきました。社会の一員として取り組む活動それぞれがSDGsにつながっていると思います。
関わり方は企業によって異なりますが、私たちは「次世代」を意識した取り組みを多く取り組んでいきました。異文化交流、スポーツ大会の実施などもその1つだと思います。
SDGsのビジネスを展開するという考えよりも、お客様一人ひとりが社会との接点を持たれていることから、お客様の求める商品・サービスを提供することこそが、SDGsの第一歩ではないかと思います。
私たちはこれまでも実践してきた企業理念「次世代へ快適な環境を」を実現するために、「お客様とどのように向き合い、どのようなサービスを提供すれば良いか」を考えながら、日々の仕事を1つずつ丁寧に取り組んでいきます。
他のインタビューを見る
OTHER INTERVIEWS