初開催!映画×SDGsのイベント「SDGsシネマアワー」をレポート
7月27日(木)に福岡市中央区舞鶴にてADVANCEシネマ(社会保険労務士法人アドバンス)主催、株式会社ホンプロ運営の「第1回 SDGsシネマアワー」が開催されました。
本企画は、SDGsがテーマの映画を通して社会課題をもっと身近に感じてもらい、参加者同士のつながりをつくる場を提供したいという思いで企画されています。
記念すべき第1回目は、映画の配給・制作を行うユナイテッドピープル株式会社の代表取締役社長である関根健次さんをゲストに招いて『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』を上映。
上映後には、レバノンにゆかりのあるワインの試飲を交えながら参加者同士での交流会も行われました。
今回、Link with SDGsでは、当日の様子をレポートします。
株式会社ホンプロとは
社会保険労務士・行政書士を中心とした専門職集団として企業の経営課題と真摯に向き合い、真の課題解決に取り組んでいる『社会保険労務士法人アドバンス』のグループ会社。
社労士という枠組みを越え、理念を同じくする専門家・ベンダー企業と「働き方の未来を創る」をテーマに、ワーケーション推進事業やバックオフィスDX推進事業など、様々なアイディアや企画を実現している。
満席の会場でイベントスタート
今回、初の試みとして行われた「SDGsシネマアワー」ですが、イベント開始時には追加の席も用意され、会場は満席に。
本イベントは、株式会社ホンプロのインターン生とともに企画・運営されていることもあり、MCはインターン生の岡野雅さんが担当。
まずは、株式会社ホンプロの代表である伴芳夫さんの開会の挨拶からスタートしました。
株式会社ホンプロ 代表 伴芳夫さんのコメント
「今回、『SDGsシネマアワー』は初めての試みです。
学生の方たちに企画をしていただいて、社会人の方々と学生さんが一緒に社会課題を見て、学んで、意見を交換する場ができたら面白いよねということでこの場を開催させていただきました。
また、開催するに至ったもうひとつの背景としては、映画の配給会社ユナイテッドピープルの代表である関根さんに海外での経験や取り組みについて話をお聞きする機会があり、非常に興味を持ちました。
中でも、映画を通して社会課題やSDGsについて学んでもらうというという事業をされていることに関心を持ちまして、ぜひうちでも一緒にできたらと思ったのがきっかけです。
本日は私もみなさんと一緒に映画を通して学びたいと思います」
関根健次さんによるオープニングトーク
続いて、オープニングトークのゲストとして、映画の配給・制作を行うユナイテッドピープル株式会社の代表取締役社長である関根健次さんが登壇。
社会課題解決への熱い思いを語っていただきました。
【関根健次さんプロフィール】
ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役、一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事。ベロイト大学経済学部卒。
大学の卒業旅行の途中、偶然訪れた紛争地で世界の現実を知り、後に平和実現が人生のミッションとなる。2002年、世界の課題解決を事業目的とするユナイテッドピープル株式会社を創業。2009年から映画事業を開始。2014年より誰でも社会課題・SDGsテーマの映画上映会を開催できる「cinemo(シネモ)」を運営開始。映画『もったいないキッチン』プロデューサー。2021年9月21日、ピースデーにワイン事業「ユナイテッドピープルワイン」を開業。
ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役社長 関根健次さんのコメント
「僕の会社ユナイテッドピープルは、人と人を繋いで世界の課題解決がしたいということを会社のミッションにしています。
社会課題というのは、戦争や紛争、気候変動や人権の問題、地雷の問題、さまざまあります。
ただ、僕たち一人ひとりが人間として作り出した問題なら、解決できると僕は信じています。
今、一人ひとりが力やスキルを持ち寄って社会課題を解決していくためのきっかけとして映画の配給、制作をしています。
僕は映画にはすごい力があると思っていて、“感動を届けることができるもの”だと思っています。
感動ってどういうことかというと、“感じて動く”ことなんです。
今日、映画を見たみなさんが、『なるほどな』とか、『こういう生き方を選択してみよう』『こういう世界があるなら変えなければいけない』というように感じたら、この後の交流会でもそういう思いを持ち寄って、『一緒になんかやろうよ』と動く。
そういう一つひとつの出会いがいい未来に繋がって行くんじゃないかと思います。」
関根さんの人生の分岐点となる出会い
関根さんによるオープニングトークでは、大学生の頃、人生の分岐点となった出会いの話もありました。
1999年頃、世界半周の旅でエルサレムに行ったとき、医療ボランティアの日本人女性に声をかけられてガザ地区に誘われたそうです。
ガザ地区といえば、戦車・空爆・紛争のイメージが強くて危険だと思った関根さんは一度断りますが、「今、ガザ地区は安全で、みんな日本人のことが大好きだから騙されたと思って来てほしい」と言われ、行ってみることに。
実際、当時のガザ地区は平和で、貧困率が6割を超える中でも、町を歩けばみんながやさしく声をかけてお茶やジュースまでくれたのだとか。
その時、関根さんは紛争地でも力強く日常を生きている人たちがいることに気付かされたそうです。
そして、その滞在中に人生を変えるほど衝撃的な体験が。
病院の前の広場でサッカーをしている子どもたちと遊んだ後、中学生くらいの男の子に夢を聞いたら「出来る限り多くの敵を殺したい」と真剣に語ったそうです。
彼は4歳の頃、親戚を敵の兵士に目の前で殺された経験をしていました。
彼の語る夢に強いショックを受けた関根さんはずっとこの会話が忘れられず、この世界をなんとかしたいと思うきっかけになったそうです。
関根さんの実体験に衝撃を受けながら、参加者は貴重なエピソードに真剣に聞き入っていました。
『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』上映
関根さんによると、中東にあるレバノンは経済破綻しており、国民の約8割は貧困状態ともいわれているそうです。
さらに、人口500万人の小さな国でありながら100万人のシリア難民を受け入れているという状況下で、ワインを作り続けている人達がいます。
今回上映された『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』は、戦争に翻弄されながらも不屈の精神でワイン製造を続けてきたレバノンのワインメーカーたちにスポットを当てたドキュメンタリー映画です。
映画には、内戦中にワイン造りを始めた修道院の神父、レバノンに加えて内戦下のシリアでもワイン造りを続ける兄弟、内戦中に虐殺が起こった故郷で村の再起のためにワイナリーを続ける夫婦など、過酷な状況下でもワインを造り続けてきた11のワイナリーの人々が登場します。
また、「レバノンワインの父」と称されるシャトー・ミュザールの2代目セルジュ・ホシャールをはじめ、『食べて、祈って、恋をして』の著者でレバノンワインを愛する作家エリザベス・ギルバート、著名なワイン評論家ジャンシス・ロビンソンなどさまざまな視点でレバノンワインの世界が語られます。
イベント参加者の方々も、映画に登場する一人ひとりの深い人生哲学を静かに受け止めるように鑑賞していました。
レバノンワインの試飲と意見交流会
映画の後は会場の後ろにあるバーカウンターでレバノンワイン3種が提供され、意見交流会が行われました。
中でも「ダー・リヒ・ハナン」というワインは、キリスト教徒のレバノン人とイスラム教徒のシリア人という2人が国も宗教も超えた友情で作り出したワインというエピソードも。
レバノンワインを手に、乾杯をして交流会がスタート。
会場では「レバノンワインは初めて飲む」「映画を見て飲むとワインの印象が変わる」などさまざまな声が聞こえ、徐々に打ち解けた雰囲気に。
開会の挨拶で株式会社ホンプロの代表である伴芳夫さんが語られていたように、社会人も学生も関係なく活気のある交流が行われていました。
初めての開催にも関わらず、“映画×ワイン×SDGs”という新しい企画で大好評のうちに幕を閉じた「第1回 SDGsシネマアワー」。
ゲストトーク、映画、ワイン、そして世代間を超えた交流とさまざまな角度からSDGsにアプローチすることで、さらに新しい取り組みに繋がっていくのを感じました。
―― 書籍/活動紹介 ――
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