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ココリコ田中直樹さんが語る「海の生物多様性」、私たちにできること – ココリコ田中直樹さん SDGs特集記事|リンクウィズSDGs
ココリコ田中直樹さんが語る「海の生物多様性」、私たちにできること

ココリコ田中直樹さんが語る「海の生物多様性」、私たちにできること

Link with SDGs編集部

既報のように、国際的な非営利団体であるMSC(海洋管理協議会)日本事務所であるMSCジャパンは6月1日、「海の恵みを守る約束。選ぼうMSCラベル」キャンペーン記者発表会を開催しました。
発表会ではMSC アンバサダーであるココリコ田中直樹さんが登壇し、MSC認証取得漁業の現場を訪れた体験の報告などが行われています。
Link with SDGsはこのイベントに合わせ、ココリコ田中直樹さんに独占インタビューを実施。
海の生物多様性をはじめとし、MSC アンバサダー就任後、世の中はどのように変わってきているのか、私たちにできることはあるのか、など伺いました。

【Profile】ココリコ田中直樹さん

1992年に同級生の遠藤章造とお笑いコンビ「ココリコ」を結成。以降、テレビやラジオなど多くのバラエティ番組に出演。役者としての顔も持ち、映画やドラマなど幅広く活動している。また芸能界随一の「海洋生物好き」として知られ、2018 年に MSC アンバサダーに就任し水産資源の現状やMSC「海のエコラベル」について、精力的に発信を続ける。

サークル

MSCアンバサダー就任から5年、変わる意識

――田中さんがMSCジャパンのアンバサダーに就任されて、今年が6年目になるかと思います。就任される前と後で、海の生き物について見方は変わりましたか?

僕は5年前アンバサダーに就かせていただいたんですけども、お恥ずかしい話、その当時は「1970年から50%もの海の生き物たちが減っている」ということを知らなかったので、そのことにすごく衝撃を受けました。

このままだとさらに「どんどん海の生き物がいなくなってしまうぞ」と思ったので、そこから意識が大きく変わったと思います。

 

MSCアンバサダーを務めるココリコ田中直樹さん

 

――意識が変わって、普段の行動で心がけていることはありますか?

はい、MSC「海のエコラベル」がついた商品を意識して探すのはもちろんですが、例えば、自分でご飯を作るときにフードロスを無くそうとか。

スーパーやデパートでは資源の回収をしてくれているので、MSCラベルの商品を買って、プラスチック製の容器やトレイは、まとめてスーパーに返しに行くなど、そういうことが多いですね。買い物袋を持参して。

 

また、こういった活動をどんどん広げていけたらいいなと思っています。

海藻(あまも)はブルーカーボン(海が吸収する二酸化炭素)に寄与しますが、海藻を育てている場所(藻場)が東京湾にもいっぱいあります。

そして藻場を作っている方の所に、今度ちょっとプライベートでお邪魔させてもらおうとか。

そういう所で伺った話を、今日のイベント(「海の恵みを守る約束。選ぼうMSCラベル」キャンペーン記者発表会)のような場で発信する準備をしていこう、というのも取り組みのひとつかなと思います。

 

「海の恵みを守る約束。選ぼうMSCラベル」キャンペーン記者発表会の様子
サークル

「500種類のサメ」に感じる、海の多様性の魅力

――地球や海の生き物のことで、いま危機感を感じているのはどのようなことでしょうか?

海に限らず、地球上の生き物――もっと言うと、気候変動も含めて「地球」そのものが「一つの生き物」のようにつながりがあると思っています。

海のバランスが崩れる=すべてのバランスが崩れることにもなりかねません。
そういった海の現状や、生き物を通して、地球全体の生き物を含めて考えるようになりましたね。

 

――田中さんが個人的に、この生き物がちょっと心配だぞという海の生き物はありますか?

海の生き物で言うと僕はサメが好きなので、違法に獲られているものがたくさんあり、問題意識を持っています。

「フィニング(※1)」されて、ヒレだけ取られて捨てられるという漁もまだあるかと思うので。

サメは個体数が減っている種がほとんどなので、そういうところが気になります。

 

※1 フィニング(shark finning)生きたサメからヒレの部分を切り取り、残った体を海に捨ててヒレだけを持ち帰る漁法。約100ヶ国、日本や米国、EUを含む国々では、その残酷性などの理由から禁止されている。

 

 

――以前からサメがお好きと言われていましたが、サメのどういうところに魅了されていますか?

サメが好きになったのは、はじめは「形から」ですね。あのサメのフォルムが好きになって、そこからです。

サメは500種以上いるとか言われていますが、サイズも20cmぐらいからジンベエザメのような10メートルを超えるようなサメまでいます。

そのサイズの幅広さや、一番はやっぱり「形」が好きでどんどん惹かれていきました。

 

――サメが好きなのはいつからですか?

映画『ジョーズ』を小学生の時に見てすっごい怖かったんですが、それと同時に強いものに対する憧れもあって。

毒を持つ蛇や、噛む力の強い生き物など。

そういった中で『ジョーズ』ではホホジロザメが描かれていて、怖さと「なんかかっこいい」が背中合わせだったんですよね。

 

どんどん他の種類のサメも見るうちに、その形が好きになって。

そこからさらにもう一段階、もっと好きになったのは大人になってからです。

いろんな研究者の方の話を聞いて、サメの生態や特徴も聞くようになって、その多様性に興味を持ちました。住んでいる場所も深海だったり表層面(表層海域)だったり、全く違うので興味深かったです。

サメって海の上の方を泳いでいるイメージだったんですけど、500種類のサメの半数以上は深海で暮らしていて。そういったことを知るのが楽しくなっていたんだと思います。

 

サークル

ひとつの生き物が、他の生き物へとつながる

――田中さんはタレント活動の中で、海の生き物に触れて、驚いたり、感動したエピソードはありますか?

ええ、いっぱいありますよ。
例えば芸能界に入るまでサメのお刺身を食べたことがなかったですし、練りものでしかいただいたことがなかったんですよね、はんぺんとかかまぼこ的な。

サメのお刺身を食べたのもびっくりしましたし、美味しかったです。

また日本人は島国で、特に子どもの時からみんなお魚を食べています。

ほかの国の子どもたちと比べて、日本の子どもたちはお魚の種類をたくさん言えたりするんですよね。
そういった「やっぱりお魚を食べてきた国だなー」という実感があります。
こういった活動を通して、子どもたちとしゃべる機会がたくさん増えました。

「あっ!詳しくない子でもこんなにお魚の名前を言えるんだ」ってことは、それだけ食卓に並んでいるからだと思いますが、それも驚きの一つですね。

 

――海にいろんな生き物がいる、つまり生物多様性だと思うんですが、その重要性について、お聞かせいただけますか?

はい。例えば「マグロが少なくなりました」「サンマが少なくなりました」。

もうそれは魚が少なくなっただけの問題じゃないんです。

植物性プランクトンがあって、それを食べる動物性のプランクトンがいて、その動物性プランクトン食べる小魚がいて、それを食べるサイズが少し大きい魚がいる。さらにそれを食べるマグロや、その頂点にいる魚、生き物たちが全部つながっているということなので。

 

つまり、1つの種が少なくなったり増えたりするのが、全体の問題になるんです。

そして植物性プランクトンを増やすには太陽の光が必要で、海の環境も整っている必要があるので、海の中だけではなく、もっと地上の問題になります。
それをひっくるめた地球の問題であると、そういう「つながり」が大事なんですね。

何か困るとみんなが困る。何かが減るとみんなが減る、そういう意識です。

それがとても大事だと、たくさん伝えていけたらいいなと思います。

 

「海の恵みを守る約束。選ぼうMSCラベル」キャンペーン記者発表会より

 

 

――ひとつのことが全体につながる。大事なことですね。

そうですね。僕も衝撃を受けた分かりやすい例があります。

ホッキョクグマが温暖化で氷が溶けて、氷の上で狩りができないので、食べるものが減って困っている状況があります。

かたや、南極の方に行くと、ペンギンたちは食べ物が増えて例年より太ってるペンギンもいます。

その時々、場所によってすべてのペンギンがというわけではないんですが、例えば「アデリーペンギン」など南極圏にいるペンギンは、温暖化の影響で食べるものが増えている状況があるんです。

それは太陽の光を遮る氷が少なくなっていて、たくさん太陽の光が海に注がれて、光合成がおこなわれる。

植物性プランクトンが増え、動物性プランクトンが増え、その動物性プランクトンを食べるオキアミが増えて、ペンギンはオキアミを食べます。

オキアミが増えると、当然ペンギンが食べる量が増えるので、例年よりもちょっと肥えたペンギンがいたりします。

 

温暖化ひとつ取っても、北極と南極で全く生き物に与える影響が違う。逆に言えば、恐ろしくもありますね。

食べ過ぎることがペンギンにとって良いことなのか、それも含めて考えないといけない。

こういうつながりを感じ、連鎖の仕方に「すごいな」って思いました。

 

サークル

一人ひとりにできる行動とは?

――田中さんがアンバサダーに就任されてから、海のエコラベルや海洋資源への世の中の取り組みも、徐々に活発化していると思います。就任されて5年間で、世の中の変化は感じられていますでしょうか?

はい、すごく感じています。

MSC「海のエコラベル」もSDGsも、世間の意識が5年前と比べて全く違うと思います。

どの企業もみんなそこを意識して力を入れていたり、世界中の意識として、そこを目標に向けて進んでいこうという。

MSCに関しても商品の数が増えてきて、日本でも認知が広がっているようです。

学校の授業で、MSCの商品やラベルのことが紹介されてたり、SDGsが授業の中で組み込まれてたりします。

 

――とは言えなかなか個人で取り組むのは難しいと感じている方も多いかもしれません。「こんなことから取り組むといいよ」などアドバイスを頂けますか?

やはり「自分自身の取り組みが持続可能」でないと、苦しいし続かないですね。

無理が出てきてしまうので、過剰にならない、自分に合ったペースで取り組むのがいいと思うんです。僕が冒頭で話したことなど。

また、僕はたとえば現場でもらったお茶は極力飲み切ったり次の現場まで持って行ったりを心がけています。

料理を作る時はなるべく「余ったものを全部カレーに入れちゃえ」とか。

自分に合った「できる範囲のサステナブルな取り組み」でないと続かないと思うので、そういったことでいいと思いますね。

 

あと僕は「信じる」ことをとても大事にしているので。

実際「ビニール袋をもらわないでエコバックで買い物して、どれぐらいの炭素を減らせてるんだ」って言われたら、もう、ごくわずかなCO2しか削減できないです。

でもその積み重ねだし、「自分のアクションが、何かにきっとつながる、役に立つ」って、信じることが大事だと思います。

 

そういった行動をしていると、自分がすごく気持ちがいいんですよね。

いいことができた、地球に、生き物に、役立てることができた。

誰かのために起こす行動は、そういった気持ちが得られるだけでもいいかなと思う。

それぞれが思う気持ちの良い行動とか喜ばれる行動で「自分にできることはなんだろう」と考えるのがいいのだと思います。

 

サークル

笑いを交えると「伝わり」やすく

――この先アンバサダーとして、どのような形で貢献していきたいですか?

5年間アンバサダーを務めさせていただき、知ってもらえている方が増えてきているので、引き続き少しでもたくさんの方に伝えていける活動をしたいと思います。

今回の取材であったり、こういった場を自分でもたくさん作れたらいいなと思います。

 

――海のイベントのトークセッションなどにも、たくさん参加されていますね。

はい、そうなんです。

生き物が好きなところからお声をかけていただく機会があり、そういったところでのMCをさせていただく機会があります。

こういうイベントにもたくさん参加できるといいなと思いますね。

 

――最後に、今日のこの発表会(「海の恵みを守る約束。選ぼうMSCラベル」キャンペーン記者発表会)について感想をいただけますか?

芸人さん3組、MCのタケト含めて4組が来てくれて、本当に楽しく、海の現状などを発信できたと思いますね。

環境問題は難しくなりがちで、良くない海の状況もあるのですが、それを楽しく、笑いを交えて伝えた方が意外と、「あ、そういうことなんだ」と頭に入ってくるのかなって。

僕自身はとても心強かったし助かりました。

 

「海の恵みを守る約束。選ぼうMSCラベル」キャンペーン記者発表会より。ココリコ田中直樹さんをはじめ、見取り図、尼神インター、インディアンスの皆さん、タケトさんが参加

―― 書籍/活動紹介 ――

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