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学生と共創!福岡市の「SDGsワーケーション」をレポート – 九州大学×福岡市 SDGs特集記事|リンクウィズSDGs
学生と共創!福岡市の「SDGsワーケーション」をレポート

学生と共創!福岡市の「SDGsワーケーション」をレポート

Link with SDGs編集部

福岡市ではビジネス拠点とコンパクトな街の魅力を活かした「ワーケーション」の推進に取り組んでおり、3月8日~12日には東京の医療系ベンチャーである「株式会社CureApp」がワーケーションに参加。
九州大学の学生が企画したワーケーションプログラムを体感し、新たなビジネスへとつなげるまさに「共創」の施策が実施されました。
今回、Link with SDGsが取材に入り、特にSDGsと関わりの深いプログラムを中心にレポートします。

企業がSDGsをはじめとしたサステナビリティな発想を得たい時、オフィスの中だけではその発想も煮詰まってくるかもしれません。そういう意味で開放的な空間、オフィスにはない体験を通じて「ワーケーション」を行うことで、新たなアイデアも生まれてくるはず。
SDGsにこれから取り組む企業の方々は、「こういったやり方もあるんだ」という参考にしてみてはいかがでしょうか。

学生と共創するSDGsワーケーション

博多湾と脊振山地に囲まれた海・山の美しい景観や資源を有し、近年は九州大学の立地により学研都市としても発展を続ける西部エリアをフィールドとしたプログラム。 デジタル・SDGsネイティブで知的好奇心も旺盛な学生メンバーと共に、企業の課題解決に繋がるアイディエーションや、地域フィールドでのSDGs体験を組込むことにより、ワーケーションを通じたチームビルディングやエンゲージメント向上に加え、自社の今後のビジネス展開に繋がる学習・交流機会を提供しています。

サークル

サステナブルな「禅農法」を体験

ワーケーションの3日目はSDGsに関するプログラムが組まれており、濃密なスケジュールが展開されていました。まず初めは、福岡市西区の糸島半島北端にある「福寿寺」での農業体験です。

福寿寺の住職である平兮 元祥(ひらな げんしょう)さんは、化学肥料や農薬を一切使わない循環農法を独自に開発。それを「禅農法」と呼び、サステナブルな農業を営んでいます。

ワーケーションではこの「禅農法」についての説明を受け、禅農法で作ったお食事を召し上がりました。

 

 

禅農法で作られた大根を中心としたメニューで、大根と菜花のサラダ、大根と新玉ねぎのコンソメスープ、焼き芋バター、大根のコンポート、ニホンミツバチの巣蜜を召し上がっています。

参加者も新鮮で安心安全な大根、めったに食べられない巣蜜を驚きと共に平らげ、サステナブルな美味しさを存分に味わっていました。

 

福寿寺の住職、平兮 元祥さん

 

平兮さんは「街から田舎へ。週末、畑へ足を運んでくれたらという想いで今まで25人の人へ禅農法を伝えてきました。地域のサステナブル化と共に活性化の役割も果たしていきたい」と語っています。

 

禅農法によるお食事を頂いた後は、実際の農作業を体験。「アンデスレッド」というジャガイモの品種の作付けや畝立てを行いました。

  • 種芋を掘り起こし、植える「作付け」
  • 雨により種芋が露出させないための「畝立て」


普段デスクワークの 参加者は慣れない農作業に戸惑いながらも、短時間でたくさんの芋を作付け。

しゃがんでいる姿が「座禅」の姿勢に似ていることから「禅農法」のネーミングが付けられたことを身をもって体験したのでした。

サークル

唐泊VILLAGEにて海岸清掃

農業体験の後は同じく糸島半島にあるキャンプ場「唐泊VILLAGE」へ移動。はじめに海岸清掃を行いました。

海岸清掃にあたっては、九州大学大学院 工学研究院 環境社会部門 生態工学研究室の准教授「清野 聡子(せいの さとこ)」さんが、唐泊ならではの地形や海流から漂着物まで解説。

どのようにゴミが流れ着き、それはどんな物なのか、環境への影響などをお話頂きました。

 

海岸の漂着物について語る九州大学大学院 准教授、清野 聡子さん

 

潮の流れなどの影響で、当日は海岸に大量の漂着物が。ペットボトルや日用品のゴミ、漁業に使われたロープ、近隣国から来たゴミだけでなく遠方のゴミまで様々なゴミであふれていました。

  • 数多くのゴミが流れ着く唐泊の海岸のゴミ
  • 漂着したゴミを拾う参加者


  • 拾ったゴミについて、清野さんが解説
  • 海外からのゴミも多く漂着していることが分かる

サークル

SDGsワークショップ

この日のプログラムの最後は、「2030SDGs」公認ファシリテーターであり、九州大学の特任准教授を務める原口 唯(はらぐち ゆい)さんによるSDGsの講義とワークショップを開催。

SDGsの理念や世界の現状についてのお話のほか、国連本部での実施実績もある「2030SDGsカードゲーム」を使ってのワークショップが行われました。

  • SDGsの成り立ちから世界の現状まで分かりやすく解説
  • 自然あふれる開放的な唐泊VILLAGEで行われ、柔軟な発想が得られやすい環境

「2030SDGsカード」を使用したゲームは記者も初めて体験したのですが、大変よく出来ているカードゲームで、ゲームを通じて「世界の仕組みとSDGsに取り組むと世界はどのように移り変わるのか」がシミュレーションできる作り。

「だれ一人取り残さないためにはどうすればいいのか?」「世界が抱える課題をみんなで解決していくには?」「ゲームで1人取り残されてしまった。どうすれば良かったのだろう?」など数多くの学びを得ることができ、ゲーム後のディスカッションも大変盛り上がりました。

サークル

ワーケーションを通じて得られたこと

今回、ワーケーションに参加したのは「株式会社CureApp」。

高血圧治療や禁煙治療などをスマホアプリで行う「治療アプリ® 」を開発し、治験等を通じてエビデンスを獲得。国内で唯一、薬事承認、保険適用を受けた治療用アプリを販売し、医療機関で処方されています。

 

医師であり、同社の取締役最高開発責任者(CDO)である鈴木 晋さんは今回のワーケーションに参加した理由について、以下のように語っています。

「福岡市での事業展開を考えたところ今回の募集を見つけました。我々よりも地元をよく知る九州大学の学生の皆さんとともに事業展開のアイディアを考えることができないかと思ったためです」

また、福岡市の多面性に惹かれ、会社の視野を広げるためのイベントや、SDGsのプログラムによって多くの気づきを得たことを明かしています。

中長期の視野で会社を捉えるきっかけとなりました。 農作業体験では、自然の循環を科学的根拠に基づいて実践している方に出会い、衝撃を受けました。 資本主義の理屈に抗って環境に向き合うことは、非科学的な感情によるものはなく、理知的な営みであるべきであり、 我々も見習う部分があると感じました。 SDGsを体験するゲームも非常に面白かったです。多様な主体が利己的に動きながらも世界の善に向かうには何が必要なのか考えさせられました。私たちは『すべての人がいつでも安心して良質な医療を享受する』ことを目的としていましたが、 そのSDGs文脈での価値を再認識するとともに、それが継続的に達成されるためには事業として成立することが不可欠であると感じました」と鈴木さんは述べています。

今後は、福岡市や九州大学と連携しつつ、学生からのフィードバックを事業に活かすことも考えているそうです。

 

福岡市と九州大学の学生、そして医療用のアプリを開発するCureApp。産官学がつながり、SDGsの体験をしながら進められていったワーケーション。

海と山に囲まれた九大学研都市周辺エリアでの地域資源をフル活用したプログラムが、今後、私たちの新たな未来を築く日はそう遠くないかもしれません。

―― 書籍/活動紹介 ――

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SDGsはもちろんのこと、サステナブル・エシカルな視点から記事を制作する編集者・ライターの専門チームです。社会課題から身近にできることまで幅広く取り上げ、分かりやすくお伝えします。

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