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美しい海と海洋生物を未来に――映画「アバター」世界観とリンクしたメディア会議をディズニー開催 – ウォルト・ディズニー・ジャパン SDGs特集記事|リンクウィズSDGs
美しい海と海洋生物を未来に――映画「アバター」世界観とリンクしたメディア会議をディズニー開催

美しい海と海洋生物を未来に――映画「アバター」世界観とリンクしたメディア会議をディズニー開催

ウォルト・ディズニー・ジャパンが主催するメディア会議「サステナビリティメディア ラウンドテーブル」が2023年2月6日に開催され、Link with SDGs編集部も参加しました。
このラウンドテーブルは、映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」公開と合わせて実施されているグローバルキャンペーン「Keep Our Oceans Amazing(わたしたちの素晴らしい海を未来に残そう)」の一環で、SB Japan Lab.の協力のもと行われたもの。
当日は、公益社団法人日本動物園水族館協会 事務局長 岡田尚憲さん、沖縄美ら海⽔族館 統括 佐藤圭⼀さん、ウォルト・ディズニー・ジャパン エグゼクティブ・ディレクター(CSR担当)秋⽉希保さんをパネリストとして、サステナブル・ブランドジャパン ESGプロデューサーの⽥中信康さんをファシリテーターをとして、生物多様性の課題の共有と意見交換などが行われました。
今回の特集記事では、このディスカッションを詳細にレポートします。

全国の劇場で公開中 
© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 

ウォルト・ディズニー・ジャパン

ウォルト・ディズニー・カンパニーの日本法人。スタジオ・モーションピクチャーズ、メディア、ダイレクト・トゥー・コンシューマ動画配信サービス、コンシューマ・プロダクツ、ディズニー・ストア、ゲーム、パーク&リゾートなど幅広いビジネスで相互に"シナジー"(相乗効果)を高めながら、多角的に事業を展開している。

サークル

ディズニーのPURPOSE

ディズニーのPURPOSE(パーパス=企業の存在意義)は、「物語の力でより良い世界へ」。

これは「一人ひとりが、自分の存在を認められ、理解されていると感じられる、誰もが居場所のある世界(World of Belonging)。人と野生動物が共存する、バランスのとれた地球(World in Balance)。希望と可能性に満ちたコミュニティ(Wordl of Hope)。ディズニーはこの3つの世界を物語、体験、事業、ソーシャル・レスポンシビリティの活動を通じて目指す」というもの。

ラウンドテーブルの冒頭ではウォルト・ディズニー・ジャパン エグゼクティブ・ディレクターの秋⽉さんから、ディズニーのPURPOSEをはじめとし、どのように今回の取り組みにつながっているのか以下の概要が説明されました。

「ディズニーは『World of Belonging』『World in Balance』『World of Hope』の3つの柱でCSR活動を行なっています。

中でも『World in Balance』では『地球の物語を変えるために行動を起こそう』を掲げ、環境フットプリントの削減、野生動物とその生息地の保護をグローバルに取り組んでいます。

そして今回のラウンドテーブルにも関連するのが、『行動を喚起するような物語』であり、まさに映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』がその対象です。

昨年12月に『Keep Our Oceans Amazing(わたしたちの素晴らしい海を未来に残そう)』という活動を始めており、日本では沖縄美ら海水族館で地元の小学生90名を対象にした特別講座を実施しています(詳しくはこちら)。」

 

全国の劇場で公開中 
© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 

沖縄での特別講座は子どもたちにとても楽しんでもらいながら、満足度の高い取り組みだったとのことですが、ウォルト・ディズニー・ジャパンの秋月さんは「『物語の力でより良い世界へ』というPURPOSEのもと、最後はアクションまで起こさなければならないと思っています。学びや海の生物、環境をより知りたいという意欲から→自分の行動を変えたい→友人や家族に伝えたい。そういった『発信する』という行動につながったのが今回のイベントで良かった点かなと思います」と語っています。

「特にジンベエザメの出産から海洋環境の現状の理解、小さなゴミが海洋生物への影響を及ぼしているという理解につながったこと。明日から何ができるか――ビーチクリーンのようなことであったり、海の生きものを守るためにゴミを捨てないとか、子どもたちから親に伝えていくという取り組みにつながりました。しかし、ここで留めてはだめだと考え、作品を通じて日本の海を取り巻く現状や、今後何にチャレンジしていかなければいかないか、というマルチステークホルダーへの取り組みということでメディアラウンドテーブルを開催しました」と秋月さんは話しています。

 

サークル

環境は地球にとってのトップリスク

以下、ラウンドテーブルの模様を対話形式でレポートします。

 

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「環境は地球にとってのトップリスクになっています。

地球温暖化のリスクは前例のないスピードで、人が介在することで影響が大きくなっていることは学術論文でも明確に出されています。気候変動対策の問題は様々なところに影響している。私たちが生き延びていけるのか、という地球そのものの絶滅の危機に瀕している。

ラウンドテーブルでは、今の現状把握を色んな視点からお話を頂こうと思います。また、それを広い意味でどう行動に移していくべきかをディスカッションしていきたいと思います」

 

サステナブル・ブランドジャパン ESGプロデューサー ⽥中信康さん

 

――海洋生物を取り巻く問題。社会課題の現状について

日本動物園水族館協会 岡田さん

「当協会は90の動物園、51の水族館が会員になっています。協会として何をやらなければならないか、それは会員の動物園、水族館のためにできることをやっていくというのが使命なんです。

そうした中で、関連省庁とも付き合いがあり、その中で様々な行事に参加して議論を進めています。

当協会は世界動物園水族館協会の会員でもあり、その出版物を日本語に翻訳して会員に紹介しています。生物の保全に関する冊子からマイクロプラスチック問題まで、そしてカーボンニュートラルについても間もなく出版されます。

協会として地域で活動されている動物園、水族館を環境問題、福祉問題含めてどれだけ応援できるかが使命と考えています」

 

日本動物園水族館協会 事務局長 岡田尚憲さん

 

沖縄美ら海⽔族館 佐藤さん

「当館は、今年で開館して20周年になります。

開館当時は沖縄の北部振興のために建設されました。当初は経済振興という位置づけでしたが、コロナ前には沖縄への入域観光客は1000万人にも達していました。そうなるとオーバーツーリズムや水質の問題、交通渋滞など環境負荷が問題になってきます。

その中で私たちは持続的な経済、社会を作っていくために、私たちがどうあるべきかというものを深く考えなければいけない状況になっています。

コロナ禍となった際、私たちが地域経済に果たす役割がいかに大きいかが明らかになりました。さらにこれからは、私たちが持続的な社会、環境、資源の利用に対して何ができるかということが課題となっています。

その中でアバターをきっかけにして、地域の子どもたちにこれだけ関心を持ってもらったイベントはおそらく今までなかったかもしれません。

地域の子どもたちが私たちの住んでいる町をどうしていく必要があるか、考える機会になったのではないかと思います。

さらに広い意味でとらえると、沖縄では海、水の問題が発生していますが、例えば北海道などで魚種交代の問題が出ているわけです。魚種交代とは生息する魚種が変わってしまったということで、気候変動が要因にあります。

環境問題は地球の人が一様に背負う問題ではなくて、局所的に色んな人が理不尽な思いをするという現状があります。

やはりここは映画のアバターでも考えさせられたところではあるんですが、世の中の人たちが話し合って協力し合いながら解決していかなければいかないんじゃないかと実感しました」

 

沖縄美ら海⽔族館 統括 佐藤圭⼀さん

 

――COP15や30by30採択を受けての課題

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「地域性などの話を頂きました。COP15(※1)で30by30(※2)が採択されましたが、これは当然意義があることで、世界が一緒のベクトルでいくんだ、という話だと思います。国内で行動に移す必要がありますが、これをどう感じ、課題と考えられていますか?」

※1 COP15=カナダのモントリオールで開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議
※2 30by30(サーティ・バイ・サーティ)=2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるというゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標

 

日本動物園水族館協会 岡田さん

「COP15では、名古屋議定書以降の状況がどうなったか…進んでいませんね、となっているわけです。しかし気象庁のサイトに行かないと一般の人は詳しく知ることができない。もう少し広く国民に知らせるべきかなと思います。

30by30は環境省が日本では中心になって取り組んでいます。しかし実行案が整っていないと感じています。

だからこそ、当協会ではそれをかみ砕いて、動物園・水族館を通して協会のホームページを見てくれる人に、自然環境はどうなのか、生物多様性はどうなのか、という話を説明していけるという立場にあるのではないかと考えています」

 

沖縄美ら海⽔族館 佐藤さん

「環境問題って、どうしても皆さん総論賛成で各論になると反対となりがちなんですね。

地域に住んでいる方にとっては死活問題で、最終的に合意できないということも出てくる。

そういう問題を解決する時に、私たちも人間である以上は自分の役に立つことやメリットがなければ、なかなか前に進まないんだと思います。

私たち水族館としては、自分たちの地域――沖縄であればサンゴの保全、海藻の藻場の保全が皆さんにどうメリットがあるのかを、理解して頂く努力が必要なのかなと。

一人ひとりが考えて理解できる社会を作っていくのがゴールだと思っていて、特に子どもを含めて若い人たちを教育するのが近道だと考えています」

サークル

企業として何ができるか

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「先ほどアバターのお話も出ましたが、企業側の取り組みが、世界中で色んな業種業態で進められています。行動に結び付けようとしている。

沖縄の特別講座での取り組みは、そのひとつの活動につなげられる事例だと考えています。

子どもたちが積極的に、楽しんで前向きにとらえて、自分たちの行動に移そうという考えが感想として出てきた。秋月さん、企業として取り組む事例として、あらためて感じられたことをお聞かせください」

 

ウォルト・ディズニー・ジャパン 秋⽉さん

「まさに『わたしたちの素晴らしい海を未来に残そう』という時に、企業として何ができるか。

私たちの事業の根幹には『物語のちから』という強みがあり、かつ発信力をポジティブに使うことができます。ウォルト・ディズニー・ジャパンとして、特に子どもたちに対して、日ごろの生活で自分たちが何をやれば何につながるのか、一連のつながりを実感してもらう。

ディズニーはエンターテイメント事業として、物語のストーリーテリング――作品をきっかけに気付きにつながることに意義があると思います。

スタートしたばかりの取り組みですが、いかに継続的に私たちの取り組みに落としていけるかということが今後の課題かなと思います」

 

ウォルト・ディズニー・ジャパン エグゼクティブ・ディレクター(CSR担当)秋⽉希保さん

 

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「沖縄での特別講座のような取り組みを広げていくのも大切だと思うのですが、いかがですか?」

 

ウォルト・ディズニー・ジャパン 秋⽉さん

「90人のお子さんたちを対象にエンゲージできたのはメリットだと思います。ただ、もっと多くの人につなげていきたいということで、どうやって座組として継続できるかを模索しているところです。オンラインという手段ももちろんありますし、『私たちの作品を通じて』という意味では、今年も海にまつわる作品としてリトルマーメイドもあります。継続的に、どうやって広げるかを私たちとしても考えていきたいと思います」

 

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「企業の強みを活かして、事業を通じて貢献するというキーワードは(CSRやSDGsの考え方に)よくあると思います。そのひとつのアンサーが、今回のディズニーさんの取り組みになったのかなと感じます。実際に佐藤さんは、初めてコラボレーションを行ったことをどのように感じられましたか?」

 

沖縄美ら海⽔族館 佐藤さん

「私たちはとても真面目に海のサイエンスに取り組んでいるんです。ただ、美ら海に来られる方はほとんど観光客で、おそらく皆さん観光施設としてとらえられているんじゃないかなと。

私としてはやはりそういう側面だけではなく、社会に対してメッセージ性のあるものを伝えていきたいと考えています。

その中で、今回、アバターという映画を通してメッセージ性のある内容を伝える機会ができたのは、異業種の方々とつながって、さらに間口を広げていく機会になったと思います。

常識にとらわれず、今後は幅広く社会で同じ意志を共有する人たちとつながり、連携していくことが重要だと思いました」

 

全国の劇場で公開中 
© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「まさに『共創』ですね。こういったプラットフォームで様々なセクターの方々と自分たちの強みを活かしてやっていくことが、分かりやすいコラボレーションだったと感じます。

そして子どもたちの何人もが『自分たちの行動に変えていこうと思ったきっかけになった』と話していました。

岡田さん、未来に残していく――大人が持っている現状認識・課題に向かっていく中で、これから期待できることは何でしょうか?」

 

日本動物園水族館協会 岡田さん

「色々な企業の方と接し、講演を行っているんですが、ここ2年くらいで興味深い傾向が、水族館や動物園と全く関係のない業種、企業の方が自社のCSRの活動の一環として当協会と連携をして何かやりたい、という話が多くなっているんですね。そのコラボレーションは、企業として『これから日本を担っていく次世代の人たちに、どういう形で私たちの企業が関わっていくのか』ということを訴えかけるために、当協会と組んでいるのだと思います。

当協会は動物園、水族館――子どもたちが楽しんで勉強できる場所を提供していますが、未来の日本を背負っていく人たちにいかに私たちは影響を与えることができるか、そこにつながっていくのだと感じています」

 

 

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「そういう『想い』を子どもたちに残していく、ということですね」

 

日本動物園水族館協会 岡田さん

「当協会でも『どう伝えていくか』『どう理解してもらえるか』学んだことがどう子どもたちの中で成長し、次の世代へ生きるかということを随分論議をしています」

 

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「佐藤さん、こういった人材育成につながっていって、想いを分かち合っていく。動物や魚が大好きで水族館の業務が好きで、という方々から問題意識から行動に起こしてどんどん取り組む。それを知ってもらう、展開してもらうということが課題になりますか?」

 

沖縄美ら海⽔族館 佐藤さん

「人材育成という点で考えると、個人的な意見としては皆さんに動物、魚が好きになって興味を持ってもらいたいとは思っています。

ただ、皆さん同じ考えを持ってほしいかというとそうではなく、できるだけ多様な考え方をする人材、自由に議論できる場を作れるような社会が健全なのかなと思っています。

例えばアバターを観てもそうなんですが『これが正解だ』というものがありすぎてもいけないのかなとも思いました。捕鯨の問題もありますし、戦いもある。それが正解かと言われると、私は分からないと思ったんですね。

そこを色んな場面で議論し合える。そういう人材を育成していくというのが大事なのだと思いました」

 

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「まさに、正解のない時代に正解を作りにいく、コラボレーションによって自分の考えをもって分かりあう、というダイバーシティ、インクルージョンの話になってくるんだと思います。

秋月さん、企業側が取り組む視点として、自分たちの作品を通じてこれを分かっていただくきっかけは初めてだと思いますし、メディアの方にお話しするのは初めての企画だと思います。これを実現させ、行動に移していくことを伝えていく。意義のあることですが、難しいことですね」

 

ウォルト・ディズニー・ジャパン 秋⽉さん

「各社さん色んな立場でCSR活動に取り組んでいると思うんですが、私たちはエンターテイメント事業が根幹であることを考えると、次世代向けに楽しく学びながらというよりは、『エンターテイメントを通じて気付けた、学べた』という。それはウォルト・ディズニー本人が残した一つの名言なんですが、まさしくそこにあるんじゃないかなと。

CSRと事業は別々にあるのではなくて、事業を通じて理解を促進することを考えると、やはり次世代向けにはエンターテイメントな作品を通して、あるいは楽しいエンゲージメントを通して学んで、そこから自分から行動に落として。こういう循環型のものをどうやって作り上げていくか、ということが私たちの使命かなと。

たとえウォルト・ディズニー・ジャパンという支社であっても、できることは考え抜いて、そこから発信をしていくということがあると思います。1社だけではできないことなので、今回は美ら海水族館の佐藤さんのご協力のもと実現できましたし、日本動物園水族館協会の岡田さんには、海洋生物の説明をする時に日本語でどうやって分かりやすく落とし込むか、ということを監修もして頂いたので。パートナーシップを組んでこそやっていかなければいけないのかなということが、今回の大きな気付きになりました」

 

サステナブル・ブランドジャパン ⽥中さん

「議論は尽きませんが、今日はこの2点にフォーカスさせて頂きました。やはり共創プラットフォームの中にサーキュラーな社会システムを作っていくというのはとても大事なことで、世界的にも事例が出てきている中で、国内ではまだまだ事例が少ないです。今後はこういった事例が増えていくことを期待したいです。ありがとうございました」

サークル

海はつながっている。だからみんなの問題として考える

以下、メディアとのディスカッションに移りました。

――沖縄美ら海水族館での特別講座は、アバター公開前にあたって子どもたちに良い予習になったと感じています。エンターテイメントと環境問題の啓発の両立の可能性について、考えをお聞かせください。

日本動物園水族館協会 岡田さん

「観ることによって学ぶ、とういことは自主的な学びですよね。教材を押し付けてさあ勉強しましょう、というのではなく。動物の動き、魚の動き――行動を見て『なるほど』と考えるきっかけを作るのが動物園や水族館の役割だと思っています」

 

沖縄美ら海⽔族館 佐藤さん

「エンターテイメントと教育は、私は基本的にそんなにかけ離れたものとは思っていなくて。私も実はサメを専門に研究しているんですが、その動機って好奇心でしかないんですね。面白いからやる。そういう意味ではエンターテイメントは教育の入り口として誰でも入りやすいところ。親和性があると思いますね」

 

 

――水族館でのイベントの流れで、環境問題に限らずダイバーシティなど色んなメッセージを秘めた作品がディズニーにはあると思うんですが、お勉強の教材、副教材ということで、そういった形で子どもたちにそういった機会を作っていくお考えはありますか?

ウォルト・ディズニー・ジャパン 秋⽉さん

「子どもたちに向けてどう継続的にアプローチしていくかということだと思いますが、『よし学ぶぞ』というスタンスではなく、気付けば学びになっている。楽しく、でも気付きがあるような取り組みが私たちにできることかと思います。学校との連携も考えられますし。

私たちは『ナショナルジオグラフィック』というCS放送のチャンネルを持っています。そこでオープンキャンパスという活動もしています。また、ディズニーは自然にまつわる作品が200以上あり、作品を通じて気付いてもらったり、エンゲージするようなイベントなり活動ということを付け加えることによって、岡田さんが話されたように『知る、見る、聞く、感じる』というプロセスを通じて、最後は伝えるということにつながるんじゃないかと思います」

 

 

――企業が事業として取り組む時、いかにしてコミットする予算がつけられるのか。『共感を呼んでいく』その行動につなげていくのはどう乗り越えていけるんでしょうか。

沖縄美ら海⽔族館 佐藤さん

「その通りで、海外の人たちとお付き合いすることも多いんですが、海外の場合は行動するにしてもお役所中心ではなく民間の企業や団体が率先して何かを始めることが多いんだなと感じています。

日本の場合は海外への災害支援などは、どうもお役所や国の仕事だと皆さん思いがちなんですね。そこを少なくとも私自身は変えていきたいな、と思っています。病院にいて外に出る機会のないお子さん(※3)、海を見る機会のないアフリカの国(ザンビア)の人たち(※4)に、私たちができることをやってみましょう、ということで取り組みを始めました。まさに今回のコラボレーションの考え方にも合ってきます。それをもっと日本の企業に広げるきっかけになればいいなと考えています」

※3 広島大学病院「小児病棟の子どもたちに沖縄美ら海水族館から遠隔授業」
※4 沖縄美ら海水族館「ザンビアの子どもたちが沖縄美ら海水族館をオンライン体験」

 

日本動物園水族館協会 岡田さん

「企業をやるべきことを、もっと後押しする――国内企業をもっと育成するということが大事だと思います。国内企業でも炭酸ガスを出さない会社などありますが、そっちの方向に関係省庁も力を入れて取り組んでもらえば助かるかと思います」

 

――SDGsの観点からも子どもたちにどう伝えていくのか、というのは重視されていることだと思います。沖縄美ら海水族館の特別講座では、子どもたちはどんなことに気付いたのか。どこに注目しているのか。大人にない目線などがあれば教えて頂けますでしょうか。

ウォルト・ディズニー・ジャパン 秋⽉さん

「大きな社会課題というより、身近なところにある、自分の生活行動が直接影響するという『気付き』ですね。

特別講座の話の中で、私たちの生活から出るゴミの大半が排水口を通じて海につながっているということで、自分の直接的な行動がすごく影響があるということに関心を持って、だから自分たちができること――日ごろのゴミをどうやって処理していくか、ゴミがあったら拾うということで、とてもシンプルにしなきゃいけないということと、自分に近いということで連想してもらえるかがポイントだったかなと思います」

 

沖縄美ら海⽔族館 佐藤さん

「できれば子どもたちには、『こういう風に水族館の人たちが言っていたからこうしなきゃね』ということではなくて。最終的には自分で考えて自分で行動できる子どもをどれだけ増やすか、ということが本当は重要なんだと思います。

そういう意味では、私は今回、ゴミの話をしました。たしかに海洋のゴミは問題になっているから捨ててはならない。『じゃあなぜその問題が起こっているのか』ということを子どもたちには将来、考えてもらいたいと思います。それは単純に一人ひとりがゴミに対する理解がないからだけではなく、南北問題とか環境問題に気を使っている余裕のない人たちだってたくさんいるわけですから、そういう幅広い問題になってくるので。最終的にそういうところまで考えてくれるようになってくれたらな、と思っています」

 

ウォルト・ディズニー・ジャパン 秋⽉さん

Keep Our Ocean Amazingの取り組みは日本だけでなくグローバルなもので、私はアジア・パシフィック地域に所属しています。フィリピン、インドネシアなど、同じように次世代をターゲットとしたそれぞれの独特な取り組みを行っています。それはなぜかと言うと『海はつながっている』だからみんなの問題として考えるのが大事なんだと思います

―― 書籍/活動紹介 ――

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